「晴・・ハンバーグ、たべたい」

ボソッとつぶやく私に晴が目を丸くした。
「んじゃ行こ! 今から!」
って、嬉々として起き上がろうとする晴のシャツをつかんで、私は彼を引き留めた。
「まって。 まだもうちょっと寝る」
「え・・・・」
再びゴロンと横になった晴。私を抱えたまま後ろに畳んで積んである夜用のお布団に手を伸ばし、上掛けを掴んでずずずと引っ張りよせる。陽が落ちかけて、少し肌寒くなってきてたから。
一緒にもぐりこんだ上掛けはふんわりと晴のにおいがした。

晴の胸に顔を埋めながら、一応予防線もはっておく。
「ヘンなこと、しないでね?」
「しねーよ。一花になんかしたら間違いなくおばちゃんに追い出される」
晴がぎゅううっと腕に力をこめた。
オレここにいたいから、って言って。

その後しばらくして、私たちはファミレスにハンバーグを食べに出かけた。
『いちかと外出してきます。まかないは帰ってから食います』ってメモを三花さんに残して。