そのうち晴は私の膝の上で穏やかな寝息をたてはじめた。
平和な寝顔だな。コドモみたい。
もう頭撫でるのやめてもいいか。寝ちゃったし。

晴を膝にのっけたまま「はーあ」ってため息つきつつ、縁側の向こうの青い空を見上げた。
なにしてんだ私は。
こいつのお母さんかよ。

ーーーそうかも。『お母さん』なのかも。

晴は思い出の中のお母さんの面影と、フツーの家庭の温もりみたいなモノを求めてるのかもしれない。
だってこの人、普通の家庭生活ってもんを全然知らないっぽいのだ。

「あんた、自分のお茶碗も持ってなかったんだもんねえ・・」