まだ食べると言って騒ぐ晴を無視して肉巻きを全部冷凍し、後片付けをしていると、晴が後ろからそーっとおなかに腕を巻きつけてくる。

「チョッ・・ト!! 何してんの!?」
ウットリと幸せそうな顔をした晴が私の肩にすとんと顎をのっけて目を閉じた。
「オレ、なんとなく覚えてんだよね。母親の後ろ姿。こーゆうかんじで料理してた・・」

そんなこと言われたら何も言えない。
おまけに手も洗剤まみれで、晴をふりはらったりできなかった。
仕方ない。ちょっとだけなら・・って晴を背中にくっつけたまま洗い物を続けてた私。
だけど晴はちいっっとも離れていこうとしない。ずっとずーっとくっついたまんま。
「ねえ、いつまでそーしてんの? いい加減もうダメ。離れてよ!」
「うるせーなあ。ケチケチすんなよ」
文句言い始めた私の口に晴が何かを押し込んだ。
小さくて四角くて、甘い香りのするお菓子。
この味はーーー
「キャラメルだ!! うわああ・・おいしっっ・・!!」
「これやるから、もーちょっとだけ。ね?」
「う、うん。・・・・じゃあ後で、もういっこ食べたい」
「いーよ。好きなだけ食わしてあげる」
嬉しそうに声を弾ませた晴が再び肩に顎をのっけた。