ノートを持って立ち上がり、私は港を出た。松の植えてある海沿いの道路を少し歩くと、古い一軒家が見えてくる。ここが今、私が居候させてもらってる三花さんのおうちだ。
独身の三花さんはここに一人で暮らしている。
あまり手入れの行き届いてない小さな庭に、土の乾ききった植木鉢がいくつも並ぶ。これはぜんぶ三花さんの鉢植えだ。お花の好きな三花さんが苗を買ってきては鉢を並べるらしいのだが、彼女は水やりが嫌いで、お花はいつも瀕死の状態。
お水をあげてから中に入ろうって思った私。玄関脇に置いてある大きなジョウロにたっぷりと水をはり、お花に水をあげていたらーーー
「!???」
レトロな曇りガラスのはまった玄関扉の向こう側。
だーれもいないはずの玄関にガタガタって何者かが現れて、たぶん靴はいてこっちに出てこようとしてる。
三花さんじゃない、男だ!! 誰!?
ガラリと開いた扉の向こう。
そこに現れた男に、私は見覚えがあった。
このどーんと背の高い金髪の男は、おそらく同じクラスの佐山くんだ。新学期が始まってからまだ1回しか見たことがないけれども。
初日だけ登校して、2日目からずっと病欠している佐山くん。んだけど誰も彼の体調不良をマトモには信じていない。『ヤンキー』だってみんなが言ってる。
私は初めて間近に見るヤンキーに釘づけ。
「おい」
声をかけられて慌てて黄色い頭から目線を下げると、正面からヤンキー佐山くんと視線がかち合った。
「あんた、誰? 人んちで何してんの?」
訝し気にしげしげとこっちをみつめる佐山くんは、きっと私のことなんて知らないのだろう。私に向けられた視線は、まんま不審者へと向けられるソレだった。
独身の三花さんはここに一人で暮らしている。
あまり手入れの行き届いてない小さな庭に、土の乾ききった植木鉢がいくつも並ぶ。これはぜんぶ三花さんの鉢植えだ。お花の好きな三花さんが苗を買ってきては鉢を並べるらしいのだが、彼女は水やりが嫌いで、お花はいつも瀕死の状態。
お水をあげてから中に入ろうって思った私。玄関脇に置いてある大きなジョウロにたっぷりと水をはり、お花に水をあげていたらーーー
「!???」
レトロな曇りガラスのはまった玄関扉の向こう側。
だーれもいないはずの玄関にガタガタって何者かが現れて、たぶん靴はいてこっちに出てこようとしてる。
三花さんじゃない、男だ!! 誰!?
ガラリと開いた扉の向こう。
そこに現れた男に、私は見覚えがあった。
このどーんと背の高い金髪の男は、おそらく同じクラスの佐山くんだ。新学期が始まってからまだ1回しか見たことがないけれども。
初日だけ登校して、2日目からずっと病欠している佐山くん。んだけど誰も彼の体調不良をマトモには信じていない。『ヤンキー』だってみんなが言ってる。
私は初めて間近に見るヤンキーに釘づけ。
「おい」
声をかけられて慌てて黄色い頭から目線を下げると、正面からヤンキー佐山くんと視線がかち合った。
「あんた、誰? 人んちで何してんの?」
訝し気にしげしげとこっちをみつめる佐山くんは、きっと私のことなんて知らないのだろう。私に向けられた視線は、まんま不審者へと向けられるソレだった。