その夜のまかないは、でっかい唐揚げがゴロゴロ入った大盛りのチャーハンだった。
ちょうどそれを取り分けているところにおなかをすかせた佐山が帰ってきて、ガッツリ系の美味しそうなチャーハンに顔を輝かせる。だけどまずはシャワー浴びたいって言って佐山はお風呂場へと消えた。その間に私はスープとサラダと、今朝作っておいた味玉をテーブルに並べておいた。
サッパリして戻ってきた佐山が、テーブルの上の二人分の夕食に目を見張る。

「なんで今日はこんなに豪華なワケ!?」
「だってあんたおなかすいてるでしょ」
「そりゃすいてるけど・・昨日はなんも食わしてくれなかったじゃねーか」

私に不審そうな目を向けながらも、席につくなりサッと箸を構えた佐山はすんごい勢いでチャーハンをかきこみ始めた。よっぽどお腹がすいていたらしい。
食事の合間に「オレ、昼メシおにぎりいっこだったんだ」って言い訳するみたいに視線をよこしてくる。
豪快なひとくちで飲むように味玉を食べちゃった佐山にビビりつつ「もういっこ食べる?」って聞いてみた。

「食べる!!」

いつも静かな台所が今日はちょっとだけ賑やかだった。
誰かと一緒に食べるゴハンはほっこりと温かく、なによりすごーく・・・・

「ーーーメシってさ、やっぱひとりよかふたりで食うほうがウマイよね?」
「え!?? ・・・・う、うん!」

びっくりした。私の頭の中をそのまんま言葉にしてみせた佐山に。
佐山の日常がどんなだかは知らないけれど、もしかしたらヤツもひとりきりでゴハンを食べるような生活を送っていたのかもしれない。
へへへと頬をゆるめて味玉を丸飲みする佐山に、気がついたら私もちょこっと笑い返してた。

三花さんちのレトロな台所に、なごやかな空気が流れる。