額にびっしりと汗のつぶを浮かべた佐山が必死に訴えた内容はというとーーー

その女性は最近新しくできた父親の若い恋人で、ちょいちょい佐山の自宅にも出入りがあった。
ある日、父親の留守中にその彼女が一人で家を訪ねてきた。
その時佐山はリビングでバラエティ番組をみてた。彼女がここで父を待つというのでそれに頷き、ヤツは呑気にテレビ鑑賞を続行。
そしたら、しばらくして彼女が・・

「急に抱きついてきたんだよ」
「「へー」」
「んで、キスされそうになって」
「「ふーん」」

「オレ、嫌だったからやめてくれって言ったんだ。だってオヤジとキスしてる女とキスすんのなんかキモイだろ??」
って彼は言うのだが。
うんと年上のお姉さんに誘惑される男の子の気持ちーーー正直そんなシチュエーションなんて上手に想像できなかった。たぶん三花さんも。

反応の悪い私たちに、佐山が悔しげにイラつく。
「キモいんだよ!! で!! オレのノリがわりーからってあの女ーーー」
勝手に佐山のズボンに手をかけて、色々しはじめちゃったって言うのだ。
で、彼の彼がついつい元気になってしまったところに父親が帰宅。
「あいつ、オレに馬乗りんなってたくせに、オヤジが帰ってきた途端いきなり上下入れ替えやがって・・」

ギリギリと眉を吊り上げた佐山がスゴイ剣幕で訴える。
あの女にはもう会いたくない、絶対に家に帰りたくない、って。
その必死さに私も三花さんも、あんまり色々言えなくなった。
襲われるのは女側だとばかり思っていたけれど、男の子が襲われるパターンだってなくはない。

「ううーーん・・」

悩み始める三花さんに佐山が必死で食い下がる。
「おばちゃん、お願い。あの女がオヤジと切れたら絶対家に帰るから。それまでここに居させてよ。オレ、行くとこねんだよ」

「ううーーんんん・・」