「フザっっけんなよ、おまえオレの彼女だろ!?」

怒りと悲しみとがぐちゃぐちゃに混ざりあった目をして、晴が必死で私を見上げる。

ああ、好き。晴が。
んできっと晴も。私と同じ気持ちだーーー

ぐぐぐと奥歯を噛みしめながら、私は改めて思ったのだ。
やっぱあのオッサンに抱かれるしかない、って。
だってこんなに好きなんだもん。そーでもしなきゃ、私たち別れられない。

「・・それなんだけどさ。晴とは別れる。堤さんが許してくれるなら次は逃げない」
「は??」
「私、愛人になる。絶対に」
「おっ、おまえーーーーー!!」

ザワザワと五月蝿い駅の構内で、互いに黙りこくったまま私たちはしばし睨み合った。

「あっそう。じゃあ今から抱かれてくれば? あのおっさんホテルにいるぞ。今日は泊まるって言ってたから」
「え・・??」
晴がキョロキョロと掲示板を探して時刻表を確認する。
「サッとヤって終電までに戻ってこい。オレここで待ってる」
「えええ・・い、今なんつった!?? サッとヤれ?? ここで待つうう・・!??」
晴が私を見て小馬鹿にしたように笑うのだ。
「愛人でもなんでもなれば? オレ、別れないからな」って。