紅茶をひとくちすすってから、三花さんがことりとカップをおいた。
「さっきお兄ちゃんから詳しいこと全部聞いた」
静かに口をひらいた三花さんの表情は、なぜかとてつもなく深刻で暗い。

「ーーーでもね? 私、晴くんがとってもいい子なの知ってる。だから晴くんの口からキチンと説明聞くまではあんなの絶対信じない」
悲しみと不安に満ちた目をした三花さんが縋るように佐山をみつめる。
「ねえ晴くん、お兄ちゃんの言ってることはホントなの?」

だけど佐山は何も答えない。
唇をぎゅっと噛みしめて、ちゃぶ台の端っこに視線を落としたままひとっ言もしゃべらないのだ。

私たち3人の間に「しーん」と気まずい沈黙が落ちた。