なんで、どうして!? とパニクる私を、晴がもの凄い形相で睨みつける。

「あのおっさんに聞いたんだよ!!」
「おっさん??」
「堤って人!!」
「!!!」

なんとなく様子のおかしかった私。
そしてその直後の外出に、どこに行くとも誰と会うとも書かれていない、あの不明瞭なメモ。

「遅くなるつっても9時までには帰るって思ってたのに、おまえ帰ってこねーから!!」

実は、携帯をもっていない私たちの門限はだいたい21時ってのが暗黙の了解みたいになっていた。
行き先も告げず出かけたまま帰ってこないなんてのは、普段の私の生活を考えると異例の事態なのである。
不安になった晴は私の部屋を調べてみたのだという。

「なんか手がかりがねえかと思って。そしたらーーー」
あのぺらぺらの財産ノートに堤さんの名刺がはさまっていた。
「今日の日付と時間とホテルの名前! おまえあの名刺に殴り書きしてただろ!!」
「あ・・・・」
「しかも!! 出る前にシャワー浴びたよな!? 風呂場濡れてるし、待ち合わせ場所はホテルだし・・そんなのもう嫌な予感しかしねーワケ!! んで、ダメ元でおっさんに電話してみたら、あいつ堂々と電話に出やがって・・」

堤さんは私が逃げ出したことを晴にアッサリと話して聞かせたのだという。