いきなりはじまったそれに動揺した私の手から、アメニティのボトルがするんと滑り落ちた。小さなボトルはコロコロとデスクの上を転がって、そのまま床へと落っこちてしまう。

「あ」

その様子を目で追ってた私。
とっさに手を伸ばしてみたのだが、それは叶わなかった。
堤さんが足元に転がってきたボトルをデスクの奥に蹴飛ばしたからである。

無言の堤さんがぎゅううっと私を抱きしめて、ほっぺにいくつもキスをする。
いきなり近く濃くなった香水のかおり。
晴とは違う男の匂いに、私は自分がここに何をしにきたのかハッキリと思い出した。

「一花ちゃん」

デコルテを丸出しにした甲斐があってか、堤さんは当たり前のようにそこへ唇をおしつけてくる。それと同時におなかの辺りに置かれていた手が明らかな意図を持って身体の側面を上昇しはじめた。

そして。

するすると上に上がってきた手のひらが、そおっと私の胸をつつみこんだ。
うわ、キターーーーーー!! ってぎゅっと目を閉じる。
ちなみにここまでは晴で経験済み。私にもまだ少々の余裕があった。

しかし。

よおし、さあこい。
やってやらあ!!

などと私の威勢がよかったのは、残念ながらここまでだった。
堤さんの手が動き出した途端、私は自分の浅はかさをこれでもかというほど思い知ることとなる。