「あーウマイ。最高」

晴のデッカイつぶやきに私もうんうんと頷いた。
そうなのだ。ここのラーメンはとってもウマイ。
その上、私にとっては大事な大事な恋の思い出がつまった特別なラーメンだ。
これ以上にウマイラーメンを私は他に知らない。

呑気でシアワセそうな晴の横顔が目にしみた。
ひと口すすった後はもう喉がつまって食べられない。そんな私に晴が不思議そうな顔を向けてくる。

「どーしたんだよ、食わねえの?? 気分悪い?」
「んーん、全っ然ダイジョーブ。絶好調」

私は慌ててどんぶりを抱えなおすと、涙ぐみそうになるのをこらえるためにモノスゴイ勢いでラーメンをすすった。それを見た晴がまたまたギョッと箸を止める。

「おっ、おまえ・・もっと落ち着いて食えば!?」
「だあって、おいひーんだもん」

そう言ってそおっと視線を上向ければ、途端に晴の顔がてれてれと緩む。
「どんだけハラ減ってんだよ。仕方ねえなあ〜」
なんつって笑いながら、晴がおしぼりに手を伸ばした。
あれだけ麺をズルズルとすすったんだ。今日はホントに汚れてるかもしれない。
パンパンのお口を閉じて大人しくしていると、口元がひんやりと冷たい感触に覆われた。

「あれ?? 今日はイヤって言わねーの?」
「うん」

おしぼりでゴシゴシと私の口を拭いながら首をかしげる晴に、胸が張り裂けそうになるのを私は必死でガマンした。