手をつないで駅前をぶらぶらしながら、私たちはのんびりとラーメン屋に向かった。
赤い暖簾をくぐってむわっとした匂いの充満する店内へ顔をつっこむと、「らっしゃーい。好きなとこすわってーー」と、フレンドリーな大将が適当な指示をとばしてくる。

「晴、前と同じとこ座りたい」

あの日と同じカウンターの隅っこに並んで座り、前食べたのと同じ一種類しかないラーメンに餃子を一皿加えて半分こ。
単純なお店でヨカッタ。おかげで『さよならする前にふたりの思い出を辿りたい』ってゆう私の思惑に晴が気づきそうな気配などまるでない。