しかし、それじゃあ納得のいかない英明さんが「遥ちゃん、なんで!??」としばらく騒いでいらっしゃったのだがーーー

「晴の気持ちを優先してあげたいって思っただけ」
「だから、それはなんで??」
「うーん・・なんでって言われてもなあ。そうしたほうがいいって思っただけ」
「???」

結局、遥さんがずーっとそんな調子なもんだから、英明さんは「ああもう、遥ちゃんは・・」とため息つきつつ妻への追及を諦めた。そして渋々次の話題へと興味を切り替えたのだった。

「で、ふたりは高校卒業したら結婚するの?」

親にとっては、結婚だって移住と同じくらいでっかい関心事である。
「そのつもりです」なんて言って頬を赤らめる晴に英明さんが次々と質問を浴びせかけ、男ふたりがリアルで現実的な話をはじめた。
就職や、お金のこと。それに英明さんのお仕事のことなんかも、ちょいちょいと間に挟みながら。
なんせ英明さんは大学関係者、経済学の教授である。