新幹線と在来線を乗り継いで、最後はバス。
「バスなんか使わなくたって駅まで迎えに行ってあげるのに」という遥さんの申し出を断って、自分の足で行ってみたいって晴が言ったらしい。
私たちはデッカイ中学校を見下ろす高台のバス停で下車し、立派なおうちの並ぶ閑静な住宅街をのんびりと歩いていた。

前もって外観の特徴を聞いていたから、遥さんのおうちはすぐにみつかった。
趣味のいい、素敵な2階建て。白いお花の咲く植栽に埋もれたガレージには小ぶりな外車が1台ちょこんとおさまっている。
「ス・・スゴっっ・・」
「金のある家だなあ・・」
私たちはしばし、目の前の素敵なお宅を眺めてボーゼンと立ち尽くした。
するとそのうちガチャリと玄関のドアが開き、中から小学生くらいの男の子が飛び出してくる。だだっと晴に駆け寄ってきたその子は、キラキラと澄んだおめめで晴を真っ直ぐに見上げた。

「ねえ、オレのお兄ちゃん??」

「「・・・・エ!??」」

なんとその少年「晴人(はると)くん」は、晴の父親違いの弟だった。