新幹線の改札口を入った正面。
小さなお土産売り場に並ぶ『たこのおどりめし』と『焼肉弁当』。

うっわーーーと目を輝かせた晴がくるりと私のほうへふりむく。
「これ、いっこずつ買って半分こしよーぜ!!」
「うん! どっちも食べてみたい!」
機嫌良く頷いたその直後。私はお弁当をみつめて「ん?」と首をひねった。
「ーーーちょおっっと待って!! 嘘でしょ、たっっっ・・・か!!」

お弁当に貼られてる白いお値段のシールに私は震えた。
「いっこ1,000円!! 駅弁ってこんなに高いの!?」
と、店内で叫ぶ私の口を晴が必死でおさえる。
「ヤメロ、バカ。声がデカイんだよ!!」
オノボリさんって思われる!とか言って晴が怒るのだが、こんな地方の駅でオノボリさんもクソもない。

「これホントに、買う??」
「買う!! だって駅弁食ってみたくてわざわざメシ時に席とったんだぞ!!」

実は、私も晴も駅弁初体験。
ちなみに晴は新幹線も初めてだった。私は中学の修学旅行で一度だけ乗ったことがあるから、今日で2回目。晴よりも1回だけ先輩なのだ。