「わっ、わたしはーーーホントにこれでいいのかよくわかんない・・・・三花さん、これって正しいの?」
縋るような視線を送る私に、三花さんが申し訳なさそうに眉を下げる。
「それは私にもわかんないよ」って。

そうかあ。そうだよね。
正しいかどうかなんて誰にもわかんないよねーーー

けれども。三花さんの『わかんない』は、妙に収まりよく、すとんと私の胸に落ちてきた。
なぜだろう。正しいよって言われるより、わかんないって言われたほうが安心できる。
理由はよくわからないけれども。

枝豆の鞘をカパッと割りながら、三花さんがウフフと笑う。
「まあ、なんにしても晴くんがこの調子じゃあ説得は難しいかもねえ。一花ちゃんがイヤじゃないなら、晴くんと一緒にいてあげて」
それにこっくりと頷く私に晴が顔をユルませる。
「あーヨカッタ。一花もオレのこと好きだって」
「ハイハイ。よかったね」
残りのビールをぐいっと豪快にあおると、三花さんは元気よく立ち上がった。
「よおし、もう1本ハイボールも飲んじゃお!」

台所へと消えた三花さんは、ハイボールの缶と一緒にポテチとチョコを抱えて戻ってきた。つまみの足しにするのだという。
「んじゃオレ、紅茶いれてこよっと」
「私も手伝う!」
お酒の飲めない晴と私は紅茶で酒盛りに参加。その夜は、遅くまでワイワイと賑やかな団欒が続いたのであった。