「ーーーあのう」

小さく声を上げた私にザッとみんなの視線が集まった。
「私も晴は進学したほうがいいと思います・・」
ズキズキと痛む胸を押さえて、そおっと晴の顔を見上げる。

「結婚なんて急ぐことないよ。晴が大学卒業してからにしよう? それまではアッチとコッチでのんびり遠恋でもしてさ?」

あえて気楽に。放課後のすごし方でも相談するような調子で晴に結婚の延期を申し出てみる。晴が「んじゃまあ、イッパツむこうで頑張ってみっか!」なんて気持ちになってくれればな、って思いながら。

結果、私の言葉は場の空気を大きく動かした。

「そうだよ、それがいい」
ホッとした表情を浮かべた遥さんと三花さんが、そろって仲良くうんうんと頷く。
「だってふたりとも、まだ高校生だもの」
「もっと色々経験した後に結婚したって遅くない」
口々に話し出すふたりに、私も笑顔を張り付けて賛同した。
「そうだよ。そうしなよ晴」って。