その日の夜。珍しく部屋に来客があった。
「入ってもいい?」
部屋のドアが二度ノックされ、控えめに声がかかる。どうぞ、と返事をすれば、ドアが開いて入ってきたのは鈴香さんだった。
「ごめん、勉強してた?」
「いえ、集中できなくて困ってた所です。」
「それならよかった。」
鈴香さんはそう言って笑って、部屋のベットに腰掛けた。
__ 暗い表情と、光の見えない瞳。
そんな鈴香さんの今朝の様子が思い出される。しかし今私の部屋でくつろいでいる鈴香さんは、いつもと変わらない笑顔で。・・・けれど、なんだろう。うまく言葉にできない違和感が、そこにはあった。
「学校はどう?楽しい?」
「楽しいですよ。千里にいつも振り回されてます。」
「ふふっ、振り回されるなっちゃん、想像できるなあ。」
私の言葉にくすくすと笑う。声も表情もなにもかも、いつもと変わらないように見える鈴香さん。なのに違和感は消えてくれない。自分の体調がどこかおかしいのだろうか。それから他愛もない話をしばらくして、学校で要がモテるという話で大笑いをしていた(失礼)鈴香さんはひときしり笑い終えた後。あのさ、と私の瞳を捉えた。
「・・・なっちゃんは今、幸せ?」
不意に真剣な顔をした鈴香さんは、私にそう問う。咄嗟に答える事が出来なくて、少し黙り込んでしまう。なんでだろう。胸が少し苦しい。
「・・・幸せ・・・です。」
ぼそり、鈴香さんに聞こえるかも分からないような呟きが溢れる。
幸せ?私は今、幸せ?心の中で自問自答を繰り返す。何もかもが嫌になることもある、上手くいかないこともある。でも。帰れる場所があって、大切な人がいて、一緒に生きたいと、思える人がいる。
私は、私は今 __
「__幸せです。」
今度ははっきり、鈴香さんに聞こえるように。確信を持ってそう答えた。幸せの定義は人それぞれだけど。でも私は今、幸せだ。温かい人達に囲まれて生活できる今の状況が、幸せでないはずが無いじゃないか。私の答えを聞いてから数秒後、鈴香さんはそっか、と笑って表情を崩した。そしてもう一度私に向き直って、嬉しそうに、でも悲しそうに、笑う。
「後悔しちゃ駄目よ。」
「・・・え?」
そうだけ言って彼女は目を伏せた。口元に笑みを浮かべていたけれど、何かを諦めたような、そんな風にも見えて。・・・やっぱり、今日の鈴香さんは少し変だ。
その後は急にテンションを上げた鈴香さんと、色んな話を夜中まで続けた。学校の話、鈴香さんの昔話、会社での話。こんなにたくさん話をしたのは初めてで、笑い疲れて、一緒に眠った。
眠気に耐えられず、意識を手放す瞬間。私を見つめる鈴香さんが、ごめんね、と呟いたような気がした
「入ってもいい?」
部屋のドアが二度ノックされ、控えめに声がかかる。どうぞ、と返事をすれば、ドアが開いて入ってきたのは鈴香さんだった。
「ごめん、勉強してた?」
「いえ、集中できなくて困ってた所です。」
「それならよかった。」
鈴香さんはそう言って笑って、部屋のベットに腰掛けた。
__ 暗い表情と、光の見えない瞳。
そんな鈴香さんの今朝の様子が思い出される。しかし今私の部屋でくつろいでいる鈴香さんは、いつもと変わらない笑顔で。・・・けれど、なんだろう。うまく言葉にできない違和感が、そこにはあった。
「学校はどう?楽しい?」
「楽しいですよ。千里にいつも振り回されてます。」
「ふふっ、振り回されるなっちゃん、想像できるなあ。」
私の言葉にくすくすと笑う。声も表情もなにもかも、いつもと変わらないように見える鈴香さん。なのに違和感は消えてくれない。自分の体調がどこかおかしいのだろうか。それから他愛もない話をしばらくして、学校で要がモテるという話で大笑いをしていた(失礼)鈴香さんはひときしり笑い終えた後。あのさ、と私の瞳を捉えた。
「・・・なっちゃんは今、幸せ?」
不意に真剣な顔をした鈴香さんは、私にそう問う。咄嗟に答える事が出来なくて、少し黙り込んでしまう。なんでだろう。胸が少し苦しい。
「・・・幸せ・・・です。」
ぼそり、鈴香さんに聞こえるかも分からないような呟きが溢れる。
幸せ?私は今、幸せ?心の中で自問自答を繰り返す。何もかもが嫌になることもある、上手くいかないこともある。でも。帰れる場所があって、大切な人がいて、一緒に生きたいと、思える人がいる。
私は、私は今 __
「__幸せです。」
今度ははっきり、鈴香さんに聞こえるように。確信を持ってそう答えた。幸せの定義は人それぞれだけど。でも私は今、幸せだ。温かい人達に囲まれて生活できる今の状況が、幸せでないはずが無いじゃないか。私の答えを聞いてから数秒後、鈴香さんはそっか、と笑って表情を崩した。そしてもう一度私に向き直って、嬉しそうに、でも悲しそうに、笑う。
「後悔しちゃ駄目よ。」
「・・・え?」
そうだけ言って彼女は目を伏せた。口元に笑みを浮かべていたけれど、何かを諦めたような、そんな風にも見えて。・・・やっぱり、今日の鈴香さんは少し変だ。
その後は急にテンションを上げた鈴香さんと、色んな話を夜中まで続けた。学校の話、鈴香さんの昔話、会社での話。こんなにたくさん話をしたのは初めてで、笑い疲れて、一緒に眠った。
眠気に耐えられず、意識を手放す瞬間。私を見つめる鈴香さんが、ごめんね、と呟いたような気がした

