7時16分、1番ホームにて

7月(美白パート)
 学校にて、沙耶は美白にとあるポスターを見せてきた。
 それは夏祭りの内容で、8月にあるという。
「で、一緒に行かない?」
「もちろんいいよ」
「やった! 浴衣着ていこうね」
「はいはい」
 美白は内心、湊士と行きたかった。しかし、自分から誘う勇気があるわけもなく、悶々とするだけだった。
「みしろんの言いたいこともわかるけど、祭りで偶然一緒になるかもしれないじゃん」
「私、何も言ってないんだけど」
「そんなの、顔見ればわかるって」
「……私ってそんなにわかりやすい?」
「うーん、こればっかりは付き合いの長さかなあ」
 その言葉に胸を撫でおろす美白。わかりやすいなら自分の好意が湊士にバレているかもしれないからだ。
 こうして美白は沙耶と一緒に行くこととなった。
 だが、翌日後悔することとなる。
 湊士はとあるお婆さんを助け、病院に行った。美白も一緒についていき、帰りに夏祭りの話題が出た。
「そういえば今度の夏祭り、君は行くの?」
「うん。友達と一緒に」
 もし、沙耶が誘ってくれたのが1日ずれていたなら湊士と一緒に夏祭りに行けたのだろうか?
 今からでも、自分たちと湊士の友人とで一緒に行かないかと誘えないだろうか?
 しかし、美白には勇気が足りなかった。結局祭りに誘うことなく別れることに。
 学校にて、そのことを沙耶に打ち明けた。
「あちゃー。ごめんね。タイミング悪かったね」
「沙耶ちゃんのせいじゃないよ」
「って言われてもなあ……」
 沙耶は心底申し訳なさそうにしていた。
 美白も、あまり気にしすぎないようにしてほしくてフォローする。
「沙耶ちゃんも言ったとおり、偶然会えるかもだし、しっかりお洒落していこ?」
「みしろん……。なんていい子なんだぁ~」
「うわあ! 急に抱き着かないで!」
 どうかいい思い出になりますように。そう願う美白であった。