私は急いで会社に向かった。

「おはようございます、遅くなりました」

彼は不機嫌そうな表情で私を見つめた。

「遅い、迎えに行くところだったぞ」

「すみません、服選びに時間がかかってしまって」

「心配したぞ、来なかったらどうしようって、正直思った」

彼は心配で仕方ないと言わんばかりの表情に変わった。

「俺のマンションに引っ越してこい」

えっ、うそでしょ、彼と一緒に暮らすなんて、毎日ドキドキして何も手につかないよ?

「大丈夫です、明日から遅刻しないように気をつけます」

しかし次の日から彼は考えられない行動に出た。


朝、彼は私のアパートに迎えに来た。

「美希、おはよう、支度出来たか、車に乗れ」

「社長、どうされたのですか」

「美希が心配で迎えに来た、これから朝毎日迎えに来る、それで帰りもここまで送る」

彼は何を考えているのだろうと予想がつかなかった。

「社長、秘書の送り迎えをする社長なんて聞いたことありませんよ」