「ガタンガタンガタン」
そんな電車のリズムに揺らされて僕は毎日学校へ行く。高校入学当初は、電車に乗ってる時間なんてただ寝るためだけの時間だった。でも、雨上がりのホームで傘を畳む、君を見つけてから僕は君から目が離せなくなった。君を、君だけの顔を見つけたあの日から僕は君が電車に乗る時間と合わせるなんて、柄にもないことを一年は続けている。あ、れ?なんか目が合ってるような?てか、こっちに向かってきてない?
「ねぇねぇ、この電車にいっつも乗ってる人だよね?」
え、初めて話しかけられたと思ったら人物確認?
「え?あ、確かに毎日この電車に乗ってますけど。何かありました?」
「君がいっつも1人で電車に乗ってるから寂しくないのかなぁって思ったの!」
あ、そういうことか。良かった。僕が毎日この電車に乗って君のことを毎日こっそり見ていたことがバレたのかと思った。
「ねぇ、聞いてる?」
「あ、すいません。1人でいることは慣れてるので別に寂しいとかそういうのはないです。」
「そっかぁ。ねぇねぇ、私たち友達にならない?制服を見る限り一緒の高校だよね?」
一瞬、この人大丈夫?なんて思ってしまった。だっていくら高校が一緒だといってもまず、僕たちはお互いの名前を知らない。そんな冷静ぶった僕もいれば、友達になろうなんて君から言われると思っていなかったから心の底からびっくりしてる僕もいる。
「あっ!まず私たち名前知らなくない?私の名前は松浦未希だよ!んー、好きに呼んでもいいけど君だったら松浦さんって呼びそうだから、下の名前でちゃんと呼んで欲しいなっ!」
なんて、言うから夢でも見ているんじゃないかって思った。でも、
「未希ね。わかった。僕は菊池晴翔。よくみんなからは、はるって呼ばれてる。あ、すいません。急に敬語外しちゃって。」
「え〜めっちゃ私は嬉しかったんだけど?これからもタメで話そうよ!あ、るーくんって呼ぶね?」
すごく元気でびっくりした。そして僕はそんな名前で呼ばれたことがなかったから少し嬉しかった。