今もなお生きているのなら？どんな人なのだろう。会ってみたいという気持ちがどんどん大きくなった...
　そこから私はすぐに行動した。でも、臓器提供者と移植者の個人情報は厳重に保管されていて、なかなかその相手を見つけることはできなかった。もう無理なのかもしれない、諦めるしかない、そんな決断を...と諦めかけていたそんなある日、何か得られるかもしれないとダメもとで過去の新聞を遡ってみたら、衝撃的な報道を見つけたの...。
　それは、姉と同じ病気に罹っていた少年が、臓器提供によって病気を克服した。日本で初めての快挙であるというものだった。私はすぐに確信した。絶対にこの子だと。
　私は急いで、その病院へと向かい、当時の状況を知っている関係者を片っ端からあたった。当時の私は何かに取りつかれたようにとにかく必死だった。そうして辿り着いたのが、あなただった。誠...
　初めてその事実にたどり着いた時、すごい嬉しかったし、姉にまた会えるんじゃないかってとても期待した。そして、あなたの居場所にたどり着くまで四年かかった。無理なんじゃないかって何度も挫折しかけたけど、どうしても会いたい気持ちが強くて、何とか見つけることができた。だから私はあなたに近づいた。
　最初の出会いも運命なんかじゃない。ここまでの話が全てなの...」
　こうして、私はこれまで隠していた真実をすべて誠に伝えた。

　私の話を黙って聞いていた誠は明らかに動揺していた。
　そして、そんなわけない、信じられないという表情を浮かべていた。なかなか状況を理解できない誠は、「嘘だろ。」とだけ言った。
でも自分自身が確かに病気を患っていて、過去に臓器提供をしてもらったという事実と、今私が話した話を照らし合わせているようだった。
　「嘘じゃない。これが真実なの...」
　
　私は偽りない本来の目的を、そして私たちの出会いについて話した。
　「最初の出会いからすべて私の計画していた通りなの...。あなたの現在の居場所と名前を知って、どうにかあなたに自然に近づこうと考えた。それで、あなたが乗っている電車でパスケースを落として、あなたが拾ってくれるようにした。
　ただ、その後、どうしたかったのかは正直自分でもわからなくて...