「あっ!じゃあまた連絡します。そろそろ仕事戻りますね。では」
 と言って再び仕事へと戻っていった。
 「はい。では、また...」
 
 私は家に帰ってきて、今日あった出来事を改めて思い出す。まさかまた会って連絡先を交換するなんて思いもしなかった。こんなことってあるんだ。本当にびっくりした。と同時に、スーツから部屋着に着替えながら、就活も頑張らないといけないなぁと、さっきの見栄がよぎり、より気合が入った。
 
 少し喉が渇いてコーヒーを淹れようとすると、携帯の着信音が鳴った。
 誠からである。
 
ー電話ー
 ーあっ美桜さんですか?河合です。
 
 ーはい。
 
 ーよかった。...突然お電話してしまってすみません。
 
 ーいえ。どうされました?
 
 ーあっ!特にないんですけど...また会うとは思っていなくて、びっくりしました。
 でもまた会えて嬉しかったです...それだけ伝えたくて...すみません。
 
 ー全然です。私もびっくりしました。
 
 ......少し沈黙が生まれる。
 
 ーあっじゃあ今日はこれで...
 
 ーその前に、あの、よかったら美桜って呼んでください。
 
 ーえっ呼び捨てでいいんですか?
 
 ーはい。私も河合さんのこと下の名前で呼んでもいいですか?
 
 ーもちろんです。
 
 ーよかったぁ。
 
 ーそういえば、敬語やめませんか?年もそんな変わらないので...。
 
 ーそういえば、そうですね。やめましょう。
 
 ー治ってない...ですね(笑)
 
 ーほんとですね。ってやっぱ最初は慣れないです(笑)
 
 ーですね。徐々に慣れていきましょう。
 ...じゃあ、もう夜も遅いし、また連絡します。
 
 ーはい、おやすみなさい。
 
 ーおやすみなさい。
 そう言って私たちは電話を切った。
 
 ...急に連絡が来て少しびっくりしたけど、なぜか私はドキドキしていた。
 その後、誠からLINEがあって毎日何気ない会話をするようになった。
そして、最初は慣れなかった言葉遣いも呼び方も段々月日を経るごとに違和感がなくなった。連絡を取り始めて何週間が経ち、次の日曜日、デートすることになった。誠の家の近所で待ち合わせをして、近くのショッピングモールに行こうという話でまとまった。