「今聞いた話をすぐに受け入れることはできないし、出会い方は普通じゃなかったかもしれない。僕は最初騙されていたのかもしれない。だけど、僕は君にまた会って、一緒に過ごして幸せだった。
 君も同じだろ?一緒に過ごした日々に嘘なんかないって思ってる。梨乃ちゃんと
三人で初めて会った時、君は嬉しいって、あの笑顔に嘘なんかなかった。僕は君を、きみのすべてを受け入れたい。再会したことだって運命なんだと思う。
 お姉さんは確かに亡くなってしまったけど、こうして今も美桜の中できちんと生きてる。その事実だけで十分素敵なことだと思う。僕だってお姉さんのおかげで生きることができた。どれだけ有り難いことか。僕たちの出会いはお姉さんなしではありえなかったんだ。確かにお姉さんは存在していた。これからだってずっと君の大好きなお姉さんは僕たちと一緒に僕たちが思い続ける限り存在するんだ」
 
 そうやって、誠は私を励ましてくれた。
 そうだ、私はこういう風に姉が過去のものとして扱われるのが耐えられなかったのだ。そして受け入れられなかった、これまでは。
 なぜなら姉はいつだって私の自慢で、ヒーローで、
 たった一人のかけがえのない存在だったから。大好きだったから。
 ずっと受け入れられなかった。姉の死を。ずっと逃げていたんだ。
 
 ...でも今なら受け入れられる。誠に会って私も少しずつ気持ちを整理することができた。
 私が思い続ける限り姉は私を見守ってくれる。私の大好きな姉を思いながら、私はそばにいる大切な人を悲しませてはいけなかったのに...たくさん裏切ってしまった。
 梨乃にだって本当のことを伝えることはできなかった。ずっと一人で抱えて逃げて、周りの人を傷つけてしまった。私は大切な友人にまで嘘をついて...でももう逃げない。許してくれないかもしれない、嫌われてしまうかもしれない。それでも私は真実を梨乃に伝えなければいけない。
 
 そして、最初の出会いは運命でもなくて最悪だったかもしれないけど、私は誠が大好きなんだ。こんな最低な私を好きだと言ってくれて、またあの時のように大好きな人と離ればなれになってしまうなんて絶対に嫌だ。誠には感謝してもしきれない。これから先もずっと一緒にいたい。この気持ちを大事にしたい。
 そう強く思った。