とりあえずあなたとつながろうとして、パスケースを落とした...もしそれで何もなかったらそれで終わりだったのかもしれない。ただ、あなたの現在の居場所と私の大学が近いことは知っていた。だからもしかしたら届けてくれるかもしれないと思った...そして、あなたは大学まで届けてくれた...
 ただ、就活先があなたの職場だとは知らなくて、偶然また再会するなんて思わなかった...本当に偶然で...だからすごい戸惑った。
 私たちの出会いは私が作り上げた嘘から始まっているはずなのに、まさかまた再会するなんて...そして付き合うことになるなんて思ってもなかった...私もどうすればいいのかわからなくなってしまった。本当にごめんなさい...」
 
 こんなことして、何のためにって聞かれたら、上手く答えられないけど、とにかく私は姉の存在、姉という実在する何かを必死に探してた。何度も何度も姉の死を受け入れようとしたけど、やっぱりできなかった。こんなことしておかしいのかもしれないけど、こうすることしかできなかった。ほんとに何がしたかったのか自分でもよくわからない...けど...ただ、姉が生きているなら探すしかなかったし、知りたかった。私は必死に姉を探していた...。
 
 「でも...あなたと再会してあなたを知っていくうちに、ああもう姉はいないんだなって、気づくことができた。少し冷静になることができた。あなたのおかげで...。あなたの臓器の一部が確かに姉のものでも、姉はいなかった...
 でもあなたが元気に生きている。
 それだけで十分なのに...そんなの分かり切ってたはずなのに、今頃気づくなんて...自分でもどうかしてると思う。ほんとにごめんなさい。あなたも傷つけてしまった...許されるなんて思ってない。もう終わりにしよう...
 こんな身勝手に付き合わせてしまってほんとにごめんなさい...
 でも、これだけは言わせてほしい...信じてくれないかもしれないけど、あなたと出会って過ごした日々は本当に幸せだった。誠のことだって本当に大好きだった。こんなことしておいて今更何言っているんだって思われるかもしれないけど、
本当に感謝してる。ありがとう。そしてごめんなさい...」
 
 しばらく沈黙があった後、誠は少し冷静な面持ちで話し始めた。