少し急ぎ足で向かった先には杏莉の姿が。
少し髪が短くなっていて後ろ姿だけだけれどすぐにわかった。
まだ気づいていなさそうな杏莉に声をかける。
「おーい!杏莉!」
「優羽!久しぶり!」
気がついた杏莉が手を振っている。
久しぶりに杏莉に会えた事で気持ちが上をむく。もししっぽが付いていたらきっとちぎれんばかりに振っている気がする。
「久しぶり!杏莉、今日どこ行く?」
結局自分ではどこに行くか決まらなかった私は杏莉にそう聞いてみる。
「優羽はどっか行きたいとこある?」
杏莉は毎回、私にきちんと聞いてくれる。
律儀だなぁなんて思うと同時に気遣ったりしなくていいと思ってもらえるくらい特別な存在になりたいなんて思ったりもする。
今日は本当にどこに行きたいかなんて決まってないからそれを伝えると駅前のショッピングモールに行かないかと提案される。
「いいね!それ」
2人でショッピングなんて楽しいに決まってる。
「じゃ、行こうか」
「うん、行こ」
2人で並んで歩き出す。
「あ、杏莉聞いてよ!」
久しぶりに会ったんだもん。話したいこと、聞きたいことは沢山あるんだ。
のんびりと話しながら行こうか、なんて言う代わりにバス停とは反対側の道路を歩きながら私は話し始めた。