「杏莉、今日は何時くらいに帰ってくるの?」
母からの問いかけにいつも通りだと適当に答えつつ、頭の中は優羽のことでいっぱいだった。少し前に短くなった髪は似合っているだろうか。今日の服は彼女好みだろうか。優羽は楽しみにしていてくれるだろうか。悩みは期待は、感情は、尽きることがないだろう。
ふと時計を見るともうそろそろ出発する時間だったため、母に声をかけ『髙木』と書かれたドアを開けた。
少し早くついてしまうかもしれないが、問題は無いだろう。遅れるよりはよっぽどいい。
でもやっぱり、早く着きすぎたかもしれない。約束の時間まで時間があった私は何となくスマホをいじっていた。
「おーい!杏莉!!」
大好きな声が私の耳に入る。
振り返るとそこには笑顔で手を振っている想い人の姿。
「優羽!久しぶり!」
私も手を振り返す。
久しぶりに見た彼女はあまり変わっていないが、いつも通り明るい雰囲気をまとっていて
ふんわりとした優しい印象を感じさせた。
うん、今日も可愛い。
私は暴れだしそうな心臓をばれないようにしながら優羽に近づいた。
「久しぶり!杏莉、今日どこ行く?」
彼女と遊ぶ時はいつもノープランだ。2人のその時の気分で行き先も内容も変わってくる。今日はどこに行こうか。
「優羽はどっか行きたいとこある?」
「特にないかなぁ。」
「だったらさ、駅前のショッピングモール行かない?」
「いいね!それ」
今日はショッピングといったところか。
「じゃ、行こっか。」
2人で並んで歩き出す。
「あ、杏莉聞いてよ!クラスメイトがさぁ─」
私と優羽は学校が違い、会うのも時々だというのに話が尽きることはなかなかない。
そんな彼女との出会いは小学校だった。小三の時に偶然同じ班になったのがきっかけだった。その後2人で遊びに行くようになって、中学に上がった今でも時々会ってこうやって遊んでいる。
優羽にとってはただの友達の1人くらいの認識でも、私にとっては特別で、どんな時でも変わらず接してくれていた優羽はとても大事な存在で唯一心から信頼できる友達だった。
彼女に想いがばれてしまえばきっと一緒にはいられなくなってしまうだろう。それは絶対に耐えられないから、この想いをずっと隠しきると決めている。前に何度も諦めようとしたけれどどうしても無理だったからせめて、隠すだけでも。
あぁ、この恋が当たり前な世界ならどれだけ良かっただろう、そう思った事なんて数え切れないほどある。
それでも結局伝える勇気なんて私にはないのだろうけれど。
母からの問いかけにいつも通りだと適当に答えつつ、頭の中は優羽のことでいっぱいだった。少し前に短くなった髪は似合っているだろうか。今日の服は彼女好みだろうか。優羽は楽しみにしていてくれるだろうか。悩みは期待は、感情は、尽きることがないだろう。
ふと時計を見るともうそろそろ出発する時間だったため、母に声をかけ『髙木』と書かれたドアを開けた。
少し早くついてしまうかもしれないが、問題は無いだろう。遅れるよりはよっぽどいい。
でもやっぱり、早く着きすぎたかもしれない。約束の時間まで時間があった私は何となくスマホをいじっていた。
「おーい!杏莉!!」
大好きな声が私の耳に入る。
振り返るとそこには笑顔で手を振っている想い人の姿。
「優羽!久しぶり!」
私も手を振り返す。
久しぶりに見た彼女はあまり変わっていないが、いつも通り明るい雰囲気をまとっていて
ふんわりとした優しい印象を感じさせた。
うん、今日も可愛い。
私は暴れだしそうな心臓をばれないようにしながら優羽に近づいた。
「久しぶり!杏莉、今日どこ行く?」
彼女と遊ぶ時はいつもノープランだ。2人のその時の気分で行き先も内容も変わってくる。今日はどこに行こうか。
「優羽はどっか行きたいとこある?」
「特にないかなぁ。」
「だったらさ、駅前のショッピングモール行かない?」
「いいね!それ」
今日はショッピングといったところか。
「じゃ、行こっか。」
2人で並んで歩き出す。
「あ、杏莉聞いてよ!クラスメイトがさぁ─」
私と優羽は学校が違い、会うのも時々だというのに話が尽きることはなかなかない。
そんな彼女との出会いは小学校だった。小三の時に偶然同じ班になったのがきっかけだった。その後2人で遊びに行くようになって、中学に上がった今でも時々会ってこうやって遊んでいる。
優羽にとってはただの友達の1人くらいの認識でも、私にとっては特別で、どんな時でも変わらず接してくれていた優羽はとても大事な存在で唯一心から信頼できる友達だった。
彼女に想いがばれてしまえばきっと一緒にはいられなくなってしまうだろう。それは絶対に耐えられないから、この想いをずっと隠しきると決めている。前に何度も諦めようとしたけれどどうしても無理だったからせめて、隠すだけでも。
あぁ、この恋が当たり前な世界ならどれだけ良かっただろう、そう思った事なんて数え切れないほどある。
それでも結局伝える勇気なんて私にはないのだろうけれど。