「とりあえず、新聞部に話を通しておいて。あたしはどんな言葉を載せるか考えておくおから。う~ん、そうだ、これから毎日、会議しましょ。放課後暇でしょ?」
「まぁ、暇だけど」
「なら、付き合いなさい。放課後、屋上で会議。これ決定だから」
 断る権利はないらしい。
 これじゃまるで奴隷だ。
「それじゃ、後宜しく。ちゃんと新聞部に話を通しておくのよ。もしもサボったら、どうなるかわかってるわよね?」
「? ちなみにどうなるの?」
「あんたに屋上でひどいことされって言いふらす。いいわね?」
 それは困る。
 大いにね。
 たとえ嘘だとわかっても、与えるダメージが大きすぎるんだよ。
 俺が仕方なく頷くと、知立さんは颯爽と消えていった。
 何も言わず、立っているだけなら美少女なのに。
 だけど、美少女は結構クセがあるらしい。
 俺は今日の一件でそれがよくわかったよ。

 本来なら帰宅する予定だ。
 だけど、これから新聞部に行かないとならない。
 正直面倒だ。
 それに、入学したばかりだから、新聞部に知り合いがいるわけではない。
 だけど、やらないと......。
 そうしないと、人生が終わってしまうかもしれない。
 俺の学校は、文化部の部活動が集まる文化棟という建物がある。
そこに新聞部はあるらしかった。
 とりあえず、俺は新聞部のトビラを叩く。
「なにぃぃーコラムを載せてほしいだってぇ」
 新聞部の部長さんは、女の子だった。
 それも結構可愛い。
 ブレザーは着用せずカーディガンにスカートという装いである。
 ただ、背が結構低い。
 部長さんだから、年上のはずだけど、ショートカットだから妹みたいに見える。
「君、名前は?」
「俺は、榊原悠真です。えっと、一年生です」
「新聞部に入りたいわけ?」
「いえ? そういうわけじゃないんですけど」
「じゃあ、どうしてコラムを?」
 色々説明が面倒である。
 だが、浄土真宗を広めると言わないと、話が進まない気がする。
「あの、親鸞聖人って知っていますか?」
 と、俺は軽くジャブをかます。
 すると、部長さんは、
「は? 何言ってるの?」
「ですよね。親鸞聖人っていうのは、仏教の宗派の一つ、浄土真宗の宗祖です。ありがたい言葉をたくさん持ってまして、それを新聞部のコラムにして毎回載せてほしいんです」
「例えばどんな言葉が有名なの?」