俺は本格的に自分の未来を見つけようとしていた。
「なら、あんた、あたしの跡を継ぎなさい」
「え? 跡を継ぐって?」
「だから、校内新聞の親鸞聖人の言葉。せっかく軌道に乗ったんだから、これで終わりにしちゃうのはもったいないでしょ」
「でも、俺にできるかな」
「できるできない。じゃないの、やるだけ。それに尽きるわ。人には大きな可能性がある。でも、みんなその可能性にかけずに、ただ、漫然と生きている。実はね、あたしもそうだった。でも、あんたと出会って、校内新聞で仏教を広めようとしたり、恋愛相談したりしていくうちに、本当に僧侶という道に行きたくなったの。多分ね、あんたに出会わなかったら、こんな風に本当に僧侶にならなかったかもしれない。だから少しは感謝してるわ」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。だけど、お別れか......、せっかく会えたのに。ずっと東京に行くのか?」
「う~んと、とりあえず高校は仏教系の学校に転校するから、そこで学ぶって感じかな。とりあえず、この夏休みに得度して、僧侶の見習いになるの。まぁ、大学に行くかもしれないけれど、まだよくわからないわ。僧侶になるのって大学とかあんまり関係なさそうだし」
「そっか......、それならいいんだ。なぁ、一つ教えてくれないか?」
「何?」
「どうして、俺を拒絶したんだ? それは俺が佐伯さんと付き合ったからなのか」
「そうに決まってるでしょ、彼女がいるのに、他の女の子と一緒にいたら、イヤだって思うじゃない」
「じゃあもしも、俺が佐伯さんと付き合っていなかったら、ずっと一緒にいてくれたのか」
「そんなこと言わせないで」
 美沙は顔を赤くさせた。
 これ以上、何を言っても、彼女は答えてくれないだろう。
 何となくだけど、俺はそんな風に思えたよ。
「とにかく、あんたとはこれでお別れ」
「なぁ、スマホとか持たないのか?」
「あ、あぁ、それね、パパやママが東京で暮らすんなら、スマホくらい持ちなさいって言ってるの。だから使うと思うけど、イマイチわからなくて」
「なら、俺の連絡先も教えておくよ。仏教のことで、これからも美沙と話したいし」
「あんたがどうしてもっていうならいいけど。だけど、使い方がわからないの。だから全部やって」
 美沙のスマホは、少し旧式のタイプだった。
 それでも、ラインをはじめとするSNSはできる。