「佐伯さん、あなたは今真実に出会った。言葉を変えると、あなたが好きなのは、自分の想像の中で作り上げた幻想の榊原なの。でも、それは事実ではない。真の姿にあなたは気づいた。思いが成就できないのは、確かに辛いかもしれない。その気持ち、あたしも痛いほどわかるから。でもね、あなた幻想で作り上げていた榊原の姿は偽りなの。そして、それを知ったことで、あなたは解放される。きっと、新しい出会いと歩みを、阿弥陀さまが用意してくれるわ」
「嘘だよ。そんなこと言って、悠真君と付き合うつもりなんでしょ。私なんて死んだ方がいいんだ」
「あたしは榊原と付き合わないわ。実はね、あたし東京の高校に転校するの。あたしの家はお寺でしょ? 今まで後を継ぐことを認めてもらえなかったんだけど、認めてもらえたの。それでね、仏教を学ぶ高校に転校するのよ。だからあたしは、榊原の前から消える。それに、死ぬなんて言わないで......。あなたが死んだら、どれだけの人が悲しむと思っているの? 家族だって苦しむし、榊原だって後悔の念で縛られるはずよ。だから死ぬなんて言っちゃダメ」
「ど、どうして、どうして知立さんはそんなに冷静なの? 私はあなたにひどいことをしようと思ってここに来たの、なのに、優しく諭してくれる。それはなぜなの?」
「あたしは仏教を学びたい。そして、仏教とは人生とは苦であると言っているのよ。そこから救われる道とは何か? それを考えるのが仏教の仕事。あたしは、その道に進みたい。同時に、あなたがあたしを恨んでいるのだとして、あたしはあなたを救いたい。だってあなたは被害者だから。悪いのは榊原。こんな男、さっさと忘れなさい」
「知立さん。ホントすごいよ。私はダメだなぁ。そこまで強くなれない」
美沙がそう言うと、瞳ちゃんはわんわん泣いた。
俺は最低だ......。本当に。
こんなに可愛い子にひどいことをしてしまったんだから。
「榊原、ちゃんと佐伯さんを送って行ってあげなさい」
「うん」
「あと、あんたにも大いに言いたいことがあるから、明日時間作って。いいわね」
「わかった。時間作るよ。ここに来ればいいのか?」
「そうね、そうして」
俺はこうして美沙と別れた。
瞳ちゃんはバスで帰るから、俺はバス停まで彼女を送って行った。
終始無言だったと、意を決したように瞳ちゃんが口を開いた。
「悠真君最低です」
「嘘だよ。そんなこと言って、悠真君と付き合うつもりなんでしょ。私なんて死んだ方がいいんだ」
「あたしは榊原と付き合わないわ。実はね、あたし東京の高校に転校するの。あたしの家はお寺でしょ? 今まで後を継ぐことを認めてもらえなかったんだけど、認めてもらえたの。それでね、仏教を学ぶ高校に転校するのよ。だからあたしは、榊原の前から消える。それに、死ぬなんて言わないで......。あなたが死んだら、どれだけの人が悲しむと思っているの? 家族だって苦しむし、榊原だって後悔の念で縛られるはずよ。だから死ぬなんて言っちゃダメ」
「ど、どうして、どうして知立さんはそんなに冷静なの? 私はあなたにひどいことをしようと思ってここに来たの、なのに、優しく諭してくれる。それはなぜなの?」
「あたしは仏教を学びたい。そして、仏教とは人生とは苦であると言っているのよ。そこから救われる道とは何か? それを考えるのが仏教の仕事。あたしは、その道に進みたい。同時に、あなたがあたしを恨んでいるのだとして、あたしはあなたを救いたい。だってあなたは被害者だから。悪いのは榊原。こんな男、さっさと忘れなさい」
「知立さん。ホントすごいよ。私はダメだなぁ。そこまで強くなれない」
美沙がそう言うと、瞳ちゃんはわんわん泣いた。
俺は最低だ......。本当に。
こんなに可愛い子にひどいことをしてしまったんだから。
「榊原、ちゃんと佐伯さんを送って行ってあげなさい」
「うん」
「あと、あんたにも大いに言いたいことがあるから、明日時間作って。いいわね」
「わかった。時間作るよ。ここに来ればいいのか?」
「そうね、そうして」
俺はこうして美沙と別れた。
瞳ちゃんはバスで帰るから、俺はバス停まで彼女を送って行った。
終始無言だったと、意を決したように瞳ちゃんが口を開いた。
「悠真君最低です」

