「知立さんが悪いんだね。きっと、悠真君を誘惑したんだ。あぁ、許せない、絶対に許せないんだから」
 と、瞳ちゃんは言った。
 彼女はとてもつもなく怒っている。
 その気持ちはわかる。
 けど、俺は、美沙が好きという気持ちにウソはつけないんだ。
「悠真君、知立さんは生徒会長と付き合ってるんだよ、知ってる?」
「知らないけど。それは関係ない。彼女が誰と付き合うと、俺は美沙が好きだから」
「どうしてなんだろう? どうしてそんなひどいこと言うんだろう。 きっと知立さんが悪いんだ。そうだよ。知立さんさえいなくなればいいんだ」
「ひ、瞳ちゃん?」

「あは、あははははははははははははははははははははははははははははっはははははははっははははははははははははははははははははっははははははははははっははははははははははははははははははははははははっははははははははははははははははっはははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははは」
 
突然、狂ったように瞳ちゃんが笑い始めた。
 俺は彼女を落ち着かせようとしてけれど、瞳ちゃんは走り出した。
 どこに行った? 
 追いかけないと、絶対にマズいような気がする。
 しかし瞳ちゃんは早かった。
 俺は途中信号に引っ掛かってしまい、彼女を見失ってしまったのだ。
 彼女の行く場所考えないと......。
 どこへ行った?
 そのヒントは、彼女の会話の中にあるだろう。
 瞳ちゃんは、俺を恨んでいるよりも、美沙を逆恨みしている。
 となると......。
 行く場所は美沙の家。
 彼女の家はお寺をしている。
 それはクラスメイトなら知っているから、瞳ちゃんはそこに向かったんだ。
 何をしに行ったんだ?
 決まってる、美沙に危害を加えるためだ。
 嫉妬に狂った瞳ちゃんが何をしでかすか。
 俺は怖くなった。
 早く美沙の家に行かないと。
 俺は走って美沙の家に向かった。

 俺の勘は当たっていた。
 瞳ちゃんは美沙の家に行ったのだ。
 そして、お寺の横にある大きな鐘の前いたんだよね。
「美沙!」
 俺は叫んだ。
 すると、美沙も気づいたようだった。
 彼女のそばには、しくしくと泣き崩れる瞳ちゃんの姿があった。
「悠真君を返して、私には彼しかいないの」
 泣き崩れながら、瞳ちゃんは叫んでいる。