今日で前期の学校は終わり。
明日から夏休みである。
嬉しい......。
俺はその日日直で、日誌を職員室に届けに行ったんだけど、その時、意外な人物に合ったんだ。
意外な人物。
それは――、
知立宋憲さん。
そう、美沙のお父さんである。
彼は僧侶だけど、普通にスーツを着ていたし、髪もあるからお坊さんには見えない。
向こうも俺の存在に気づいたようだった。
「お、君は確か美沙の友達の」
「榊原です」
「そうそう。榊原君、美沙がお世話になっているね」
最近はまったくつながりがないのだけど。
「えっと、お父さんは何をしに来たんですか?」
この場合、宋憲さんを何と呼ぶのかわからなかった。
迷ったけれど、俺はお父さんと呼んだ。
「ちょっとね、美沙のことでね」
「美沙さんのことで」
「うん、君は美沙に何も聞いていないの?」
「特に何も......」
「そうか。ならいいんだ。最近美沙とどう? 上手くやってる」
「えっと、最近はそんなに」
「なるほどね。そんな感じだと思ったよ」
「え、どうしてですか?」
「父親の勘。美沙がここしばらく元気がなくてね。まぁ、本格的に僧侶を目指すとやる気にはなっているんだが」
「そうなんですか」
「そうだ、榊原君、今少しいいかね?」
「今ですか? 別に構いませんけど」
俺と宋憲さんは廊下に移動して、そこで相対した。
俺もちょうど聞きたいことがあったから都合がいい。
「美沙と何かあったのかね?」
「いえ、特に。ただ、拒絶されたみたいで」
「拒絶か......、どうしてだろう?」
その理由を言ってもいいのだろうか?
だけど、俺は真実を言ってもいいような気がしたんだよね。
「多分ですけど、俺に彼女ができたから」
「なるほどね。やはり恋愛関係か......」
と、納得したように宋憲さんはつぶやいた。
「よくわかったよ、ありがとう。君も大変だと思うが、これからも美沙をよろしくね」
「はぁ」
それだけ言うと、宋憲さんは立ち去ろうとした。
だけど、俺はそれを制する。
「ちょっと待ってください。一つ聞きたいんです」
「私に聞きたいこと?」
「はい、仏教を勉強したいんです。そんな時、どうすればいいですか?」
「仏教を、それまたどうして?」
「人生は苦です。でも、誰もが救われる道を説いているからです」
明日から夏休みである。
嬉しい......。
俺はその日日直で、日誌を職員室に届けに行ったんだけど、その時、意外な人物に合ったんだ。
意外な人物。
それは――、
知立宋憲さん。
そう、美沙のお父さんである。
彼は僧侶だけど、普通にスーツを着ていたし、髪もあるからお坊さんには見えない。
向こうも俺の存在に気づいたようだった。
「お、君は確か美沙の友達の」
「榊原です」
「そうそう。榊原君、美沙がお世話になっているね」
最近はまったくつながりがないのだけど。
「えっと、お父さんは何をしに来たんですか?」
この場合、宋憲さんを何と呼ぶのかわからなかった。
迷ったけれど、俺はお父さんと呼んだ。
「ちょっとね、美沙のことでね」
「美沙さんのことで」
「うん、君は美沙に何も聞いていないの?」
「特に何も......」
「そうか。ならいいんだ。最近美沙とどう? 上手くやってる」
「えっと、最近はそんなに」
「なるほどね。そんな感じだと思ったよ」
「え、どうしてですか?」
「父親の勘。美沙がここしばらく元気がなくてね。まぁ、本格的に僧侶を目指すとやる気にはなっているんだが」
「そうなんですか」
「そうだ、榊原君、今少しいいかね?」
「今ですか? 別に構いませんけど」
俺と宋憲さんは廊下に移動して、そこで相対した。
俺もちょうど聞きたいことがあったから都合がいい。
「美沙と何かあったのかね?」
「いえ、特に。ただ、拒絶されたみたいで」
「拒絶か......、どうしてだろう?」
その理由を言ってもいいのだろうか?
だけど、俺は真実を言ってもいいような気がしたんだよね。
「多分ですけど、俺に彼女ができたから」
「なるほどね。やはり恋愛関係か......」
と、納得したように宋憲さんはつぶやいた。
「よくわかったよ、ありがとう。君も大変だと思うが、これからも美沙をよろしくね」
「はぁ」
それだけ言うと、宋憲さんは立ち去ろうとした。
だけど、俺はそれを制する。
「ちょっと待ってください。一つ聞きたいんです」
「私に聞きたいこと?」
「はい、仏教を勉強したいんです。そんな時、どうすればいいですか?」
「仏教を、それまたどうして?」
「人生は苦です。でも、誰もが救われる道を説いているからです」

