「え? どうしてですか?」
「だって原稿が手書きになったから。いつもは君がメールで送っていたでしょ。それで変だな思って」
「多分、今後は手書きになると思います。俺、彼女を手伝うのクビになったみたいなんで」
「ふ~ん、お似合いのカップルだと思ったのに。そういや彼女、生徒会長と最近一緒にいるみたいだけど」
「らしいですね。詳しくないです」
 すると、キラリと鈴奈さんの目が光った。
「生徒会長......、何か怪しいんだよねぇ」
「怪しいですか?」
「そう。二面性があるっていうかね。噂だけど、お年寄りにひどいことしたりとかね」
「お年寄りに?」
「うん、何でも肩がぶつかったとかなんかで、おばあさんを恫喝したっていう噂だよ。まぁ、生徒会長はイケメンだし、人望も厚いから、それを妬んでの噂かもしれないけどね。まぁ、あの人には気をつけた方がいいよ」
「そうなんですか......」
 やっぱり、二階堂さんは怪しい。
 俺の勘も何となくそう言っている。
 だからと言って、俺が何かできるわけじゃないんだけど。
 ただ、俺は生徒会長の裏の顔を見てしまうんだよね。
 それは、その日の帰り道に起きた。
 俺がチャリで帰り道を走っていると、二階堂さんの姿があった。
 そして、横断歩道を渡った時、前方から歩いてきた、お年寄りと、ぶつかったのである。
 お年寄りは横断歩道で転倒したんだよね。
 普通ならぶつかったんだから謝るところだけど、二階堂さんは全く違う行動を取った。
「うぜぇよ、ババァ......」
 そう言い唾を吐き捨てたのだ。
 こいつはおかしい。
 人間として終わっている。
 俺は、倒れたお年寄りに手を差し出して、一緒に横断歩道を渡った。
 おばあさんは俺に感謝しているようだったけれど、やはりショックを受けているらしい。
目がとても寂しそうだったよ。
あいつはダメだ。
美沙が悲しむ......。

 翌日――。
 俺は、朝一番で美沙のところへ行った。
 彼女は一人でぼんやりしていたけれど、俺が来た瞬間ムッとした顔になった。
「何よ?」
「ちょっと話がある」
「話?」
「あぁ、いいから来いよ」
 廊下へ行き、俺は美沙に一連の出来事を話した。
 つまり、生徒会長は人間的に終わっているから、付き合うのはやめた方がいいと告げたのである。
 しかし、美沙は予想外の行動を取った。