「そうなんだ」
「でもどうしてですか?」
「あ、イヤ、さ、佐伯さんもああいうイケメンが好きなのかなって思って」
「そんなことないです。私は、私はその......」
 急に佐伯さんは恥ずかしそうになった。
 そして、静かに告げる。
「私は、榊原君みたいな人がいいです」
「え?」
「な、何でもないです。そろそろイルカショー始まりますよ」
 生徒会長。なんか嫌な予感がするよ。
 よくしつけられたイルカは、どれも可愛く、俺たちの前で最高の芸を見せてくれた。
 だけど、どこか気分晴れない。
 その理由は決まっている。
 美沙と生徒会長の関係が気になっているからだ。
 なぜ?
 なぜ二階堂一馬なんだよ。
 それが不思議でならなかった。
 結局、俺はマリンピア日本海を十分に楽しめずに、そのまま新潟駅に向かった。
 その帰り道、佐伯さんが公園に行きたいといったから、俺たちはそこに向かった。
 新潟駅のそばにある弁天公園という場所だった。
 いくつかベンチがあり、俺たちはそこに腰を下ろす。
「楽しかったですね?」
「うん。そうだね」
「ホントですか? 何か悩んでいるように見えましたけど」
「イヤそんなことは......」
「あの、今週の校内新聞見ました?」
「え? あぁ、まぁ少しは」
「知立さんのコーナー。すごいですよね?」
「うん、まぁ親鸞聖人の受け売りだけどね」
「私、勇気をもらえました」
「勇気?」
「そうです。あの言葉って、桜はいつ散るかわからないから、行動を後回しにしてはいけないって意味ですよね」
「うん。そうだと思う。少し調べたけど、あの言葉は、親鸞聖人が得度っていって、お坊さんになる儀式をする時に言った言葉らしいんだ」
「そうなんですか」
「うん。ネットの情報だけど......」
「あの、私も行動します」
「え?」
 俺が驚くと、佐伯さんは俺の目を一心に見つめた。
 そして――。
「榊原君、あなたが好きです」
 告白。
 そう、俺は告白されたのだ。
 生まれて初めてね。
 さて、どう答えるべきなんだろう?
 少なくとも、即答できる問題ではない。
 だから、俺は黙り込んでしまった。
 すると、佐伯さんがあたふたしながら、
「あ、その、ゴメンナサイ。急にこんなこと言って。でも後悔したくなくて。今すぐに返事はしなくてもいいです。だから、少し考えてもらえませんか?」