どうしてか寂しい気持ちがする。

 屋上から戻り教室へ行くと、佐伯さんが待っていた。
 彼女はチョコチョコと俺の前にやってくると、恥ずかしそうに言った。
「あの、榊原君、一緒に帰りませんか?」
「一緒に? でも佐伯さんってバスで通学してるんじゃ」
「はい。でも今日は万代の方まで行きたくて、一緒に行きませんか?」
「別にいいけど......」
 俺は言ってしまう。
 もう、どうにでもなれだ。
 俺と佐伯さんは新潟の繁華街、万代で向かった。
 俺は自転車通学だから、自転車を押し、隣に佐伯さんが歩いた。
「あの、一つ聞いてもいいですか?」
 と、唐突に佐伯さんが尋ねてくる。
 沈黙が痛かったし、この質問は何かありがかたかった。
「何?」
「あの、榊原君と、知立さんってどんな関係なんですか?」
「どんなってただの友達だよ」
「ホントにただのお友達ですか?」
「うん、そうだと思う」
「なんか、よく二人で屋上にいるから、何してるのかなって思って」
「あぁ、ちょっと新聞部と交流があってね。それで会議っていうか、話し合いをしてたんだ」
「榊原君は新聞部なんですか?」
「いや、違うんだ。知ってるかな? 校内新聞で親鸞聖人の言葉っていうコーナーがあるんだけど」
 俺がそう言うと、佐伯さんは意外そうな顔をした。
「はい。知ってます。面白いコーナーだなって」
「そう、実はあれを作っているのは美沙......、じゃなくて知立さんなんだ。でも、彼女はスマホとか持っていないから、俺が彼女が書いた原稿をデータにして新聞部に送っていたんだよね」
「あのコーナーを知立さんが......、そうだったんですか」
「でも佐伯さんも知っていたんだね」
「はい、実は私質問を送りましたから」
 質問......。
 今のところ、反響があった質問は一つだけだ。
 そう。
 あの恋愛相談である。
 あれを書いたのは、佐伯さんだったのか。
 となると、大きな問題もある。
 あの質問は恋愛相談だった。
 つまり、彼女は恋をしているのだ。
 誰に?
 決まってる。
 俺にだ。
 佐伯さんの好意を、俺はヒシヒシと感じている。
 だって、好意を持たない人にお弁当を作ってこないだろう。
 なぜだろう?
 どうして、俺なんだろう??
 俺なんて頭もよくないし、運動だってできない。それに背だって高くないし......。