佐伯さんは、バスでやってくるらしいから、俺たちは万代にあるバスセンターという場所で待ち合わせをする。
 俺は一応待ち合わせ時間の十分前にやってきて、待っていた。
 一時五分前。
 佐伯さんがやってきた。
 いつもは制服だけど、今日は私服だ。
 チャームポイントの細フレームのメガネ。
そして、白のロング丈のワンピースに、カーディガンを羽織っている。
 なんといか、フェミニンさを感じるスタイルだ。
 対する俺は、GUで購入したシャツに、色落ち加工がされたジーンズ、スニーカーはコンバースを選んだ。
というかそれしか持っていない。
「ゴメンなさい、待ちましたか?」
 と、申し訳なさそうに佐伯さんは言う。
 俺はたいして待っていない。
「いや、待ってないよ。来たばかりだけど」
「それならよかったです。じゃあ行きましょう」
「うん」
 バスセンターからTJOYまでは徒歩で五分くらい。
 つまり、すぐなのだ。
「何の映画見たいですか? 何でも選べるんです」
「う~ん、少し調べたんだけど、こんなのはどうかな?」
 俺は一応下調べしてきた。
 その上で、泣けると話題になっている人気の小説を原作にした映画を提案した。
 すると、佐伯さんは、
「それ、私も見たいです。じゃあそれにしましょう」
 俺たちはその映画を見た。
 本当に映画のチケットがあるらしく、無料になった。
 ただ、緊張でがちがちになっていた。
 何を話せばいいんだろう?
 とりあえず映画を見ている時は無言でもいいだろう。 
 でもさ、それが終わったら話さないとならない。
 あぁ、ホントに緊張するよ......。
 映画は二時間。
 それが終わると、三時半くらいになっていた。
 これでお別れってわけにはいかないから、俺たちは近くにあったカフェに入り、そこで談笑したんだよね。
「面白かったですね」
「うん、どんでん返し系の作品だったんだね。佐伯さんはこの小説知ってた?」
「はい。一応読んでます。榊原君は?」
「俺は未読。本とかあまり読まないから」
「よ、よかったら今度貸しましょうか? 読みやすいし、読書になれていない人でも楽しめます」
「え、でも悪いし......」
「そんなことないです。私、榊原君と本について話せたら嬉しいです」