そう言うと、美沙は去っていった。
僕は屋上を出て玄関に向かう。後は帰るだけだ。
ただ、今日は意外な生徒が俺を待っていた。
玄関で俺が靴を履き替えていると、
「あ、あの、榊原君」
「え?」
俺に声をかけてきたのは、クラスの図書委員の佐伯瞳さんだった。
メガネが印象的なインテリ系の女子生徒なんだよね。
「榊原君は屋上が好きなんですか?」
「ぁ。えっと、まぁそうかな」
「ふ~ん、な、何してるんですか?」
「特に何もしてないよ。ぼんやりしてるだけ」
「そ、そうなんだ。何か知立さんと一緒みたいだったから」
「あ、うん、実は彼女とぶつかった時、ウォークマンを壊しちゃったみたいで、謝っていたんだよ」
「そ、そうなの。ふ~ん、だから一緒だったんですね。そ、それじゃあね。また明日」
「うん、また明日」
これはこうして、佐伯さんを別れた。
翌日――。
俺が教室でぼんやりしていると、美沙がやって来た。
「ねぇ、悠真、ちょっと来て」
俺は廊下に呼び出される。
そして、原稿用紙を渡された。
そこには、昨日の恋の悩みの相談の答えが書かれていた。
俺がそれを読んでいると、美沙が口を挟んだ。
『煩悩にまなこさへられて
摂取(せっしゅ)の光明みざれども
大悲ものうきことなくて
つねにわが身をてらすなり』
????
また、いつもの展開だ。
この子は本当に親鸞聖人が好きなんだな。
「それも親鸞聖人の言葉?」
「そう。親鸞聖人が書いた『高僧和讃』っていう本に載っているの。どういう意味かわかる?」
「う~ん、煩悩って言葉が出たよね、なら、それに関係しているとしか、よくわかんないけど」
「煩悩によって自分の殻(から)に閉じこもってしまい、人生の道筋を見失っているこのあたしに、阿弥陀如来の大悲が常に光を照らしてくださっているって意味よ」
「それがどう恋愛相談の答えになるの?」
「つまりね、阿弥陀如来の大悲の教えを聞き、照らされた道を歩けばいいの。つまり第一歩が大切って意味なの。あの時、勇気を出して一歩を踏み出していたら、人生変わったかも言しれない。そんな思いは誰にでもあるわよね?」
「まぁあるかな」
僕は屋上を出て玄関に向かう。後は帰るだけだ。
ただ、今日は意外な生徒が俺を待っていた。
玄関で俺が靴を履き替えていると、
「あ、あの、榊原君」
「え?」
俺に声をかけてきたのは、クラスの図書委員の佐伯瞳さんだった。
メガネが印象的なインテリ系の女子生徒なんだよね。
「榊原君は屋上が好きなんですか?」
「ぁ。えっと、まぁそうかな」
「ふ~ん、な、何してるんですか?」
「特に何もしてないよ。ぼんやりしてるだけ」
「そ、そうなんだ。何か知立さんと一緒みたいだったから」
「あ、うん、実は彼女とぶつかった時、ウォークマンを壊しちゃったみたいで、謝っていたんだよ」
「そ、そうなの。ふ~ん、だから一緒だったんですね。そ、それじゃあね。また明日」
「うん、また明日」
これはこうして、佐伯さんを別れた。
翌日――。
俺が教室でぼんやりしていると、美沙がやって来た。
「ねぇ、悠真、ちょっと来て」
俺は廊下に呼び出される。
そして、原稿用紙を渡された。
そこには、昨日の恋の悩みの相談の答えが書かれていた。
俺がそれを読んでいると、美沙が口を挟んだ。
『煩悩にまなこさへられて
摂取(せっしゅ)の光明みざれども
大悲ものうきことなくて
つねにわが身をてらすなり』
????
また、いつもの展開だ。
この子は本当に親鸞聖人が好きなんだな。
「それも親鸞聖人の言葉?」
「そう。親鸞聖人が書いた『高僧和讃』っていう本に載っているの。どういう意味かわかる?」
「う~ん、煩悩って言葉が出たよね、なら、それに関係しているとしか、よくわかんないけど」
「煩悩によって自分の殻(から)に閉じこもってしまい、人生の道筋を見失っているこのあたしに、阿弥陀如来の大悲が常に光を照らしてくださっているって意味よ」
「それがどう恋愛相談の答えになるの?」
「つまりね、阿弥陀如来の大悲の教えを聞き、照らされた道を歩けばいいの。つまり第一歩が大切って意味なの。あの時、勇気を出して一歩を踏み出していたら、人生変わったかも言しれない。そんな思いは誰にでもあるわよね?」
「まぁあるかな」

