「わかった、じゃあ一日借りるぞ」
「うん、お願いね」
 俺は、買ったばかりのウォークマンを受け取る。
 その時だった。後ろから声が聞こえてきたのだ。
「あ、悠真、何してんの?」
 その声は妹の陽菜だった。
 中学生のくせに何でこんなところに?
「誰この子?」
 と、当然の疑問をはく美沙。
 すると、陽菜がパクパクと打ち上げられた魚のようになった。
「悠真が、女の人と一緒に、嘘でしょ」
「あぁ、こいつは俺の妹、陽菜って言うんだ。中学生」
「悠真君の妹、可愛い子だね、宜しく陽菜ちゃん」
 と、ネコかぶりモードになる美沙。
「ゆ、悠真のクセに生意気! バカー!」
 と、言い捨て、陽菜はプンスカ怒って立ち去った。
 全く、思春期の女子が考えることはわからん。
 美沙と別れた後、俺は自室でネットにつなぎ、ウォークマンに正信念仏偈とやらを入れるため、四苦八苦していた。
 ただ、正信念仏偈は結構有名らしく、デジタルでも売っていたんだよね。
 なんだCDがなくてもよかったのか?
 価格も五百円くらい。
 正信念仏偈 (草譜)というものがあったから、俺はそれを入れておいた。
 まぁ、ジュースをご馳走したと思えば、五百円くらいどうってことないだろう。
 後はこれを渡すだけだ。
 一仕事を終え、リビングに向かうと、陽菜がDVDを見ていた。それも幽遊白書。結構古いアニメが好きなのだ。
 陽菜は俺の存在に気づき、キッと睨みつけた。
「で、デートは終わったの?」
「は? デート?? 何の話だ」
「今日、女の子と一緒だった」
「あぁ、友達だよ、ただの」
「そ、そう、どうせ悠真のことだからいいように遊ばれて終りね。それに結構可愛い人だったし」
「美沙はただの友達だって言ってるだろ」
「へ、へぇ、もう名前で呼んでるんだ。フン! 鼻の下伸ばして、バカじゃないの」
「あのなぁ、鼻の下なんて伸ばしてないぞ! 言いがかりだ」
「ふん! どうだか! どうせ悠真なんか遊ばれて終りなんだから。あんまり調子に乗らないことね」
「お前こそ、いつまで経ってもアニメなんて見てないで、少しは現実に目を向けろ! お前が好きな蔵馬なんて、実際はアニメや漫画の世界だけで、現実にはいないんだぞ」
「な、なぁ......。あんたに蔵馬さまをバカにされる筋合いはないわ。バカ! 変態! 騙されて死ねぇ」