「マリンピア日本海……楽しみだな」
「だけど、それで私の人生は終わり」
「そんなこと言うなよ。暗くなる。婚姻届けも出さないとならないからな」
「そうだね。……でも、健君本当にそれでいいの?」
「いいって何が?」
「私はね、消えちゃんだよ。存在がなかったことになる。それが、超能力を使ったものの宿命だから。なのに、健君は私と一緒になろうとしてる」
「だって好きだから」
「いなくなるのに……」
「そうかもしれないけど、俺は絶対に忘れないよ」
「そんなの無理だよ。私は誰にも理解されず消えていくの」
「瑞希……」
彼女はサラッとそんなことを告げた。
酷く寂しそうに見えた。
瑞希は余命が迫っているというのに、決して泣きごとを言うわけではなかった。ただ、淡々と前を見据えているんだよね。
それが、俺には不思議だったよ。
例えばね、俺が残り少ない命になってしまったら、もっと悲観に暮れると思うんだ。なのに、瑞希にはそれがない。あまりにも冷静すぎて、逆に恐怖を覚えるよ。
「瑞希、怖くないのか?」
「怖いって何が?」
「つまり、死ぬのが……、消えるのが……」
「う~ん、どうだろう? 私は罪を犯したから、本来は生きちゃいけない存在なんだよ。それなのに、ここまで生きてきた、だから、満足しないとならないよ」
「だけど、瑞希はずっと罪を背負ってきたんだ。それなのに、その終着点が『死』ってあまりにも切なすぎるよ」
「死刑囚なんてそんなもんだよ。それにね、死ぬときはあっという間だと思う。だから、そんなに怖くないから」
嘘か本当か?
俺には判断できなかった。
ただ、瑞希の眼はどこか遠い。
あまりにも遠くを見ているような気がするよ。
「とにかく明日はマリンピア日本海だ。思いっきり楽しもう」
「うん。そうだね」
「元気出せよ。こんな時に言う言葉じゃなかもしれないけど」
「私は元気だよ。ただ、不思議なの?」
「不思議?」
「そう。また健君が私の前に現れて、それで好きって言ってくれて、さらに、結婚まで言い出して、本当に不思議。私はとっくの昔に健君とは終わったと思っていたのに」
「俺は、ずっと好きだったんだ。だけど、お前に拒絶され、絶望したんだよ。嫌われてしまった、もう会いたくないのだと思った。だからさ、行動できなかったんだ。瑞希はどうなんだ? 俺のことどう思ってる?」
「だけど、それで私の人生は終わり」
「そんなこと言うなよ。暗くなる。婚姻届けも出さないとならないからな」
「そうだね。……でも、健君本当にそれでいいの?」
「いいって何が?」
「私はね、消えちゃんだよ。存在がなかったことになる。それが、超能力を使ったものの宿命だから。なのに、健君は私と一緒になろうとしてる」
「だって好きだから」
「いなくなるのに……」
「そうかもしれないけど、俺は絶対に忘れないよ」
「そんなの無理だよ。私は誰にも理解されず消えていくの」
「瑞希……」
彼女はサラッとそんなことを告げた。
酷く寂しそうに見えた。
瑞希は余命が迫っているというのに、決して泣きごとを言うわけではなかった。ただ、淡々と前を見据えているんだよね。
それが、俺には不思議だったよ。
例えばね、俺が残り少ない命になってしまったら、もっと悲観に暮れると思うんだ。なのに、瑞希にはそれがない。あまりにも冷静すぎて、逆に恐怖を覚えるよ。
「瑞希、怖くないのか?」
「怖いって何が?」
「つまり、死ぬのが……、消えるのが……」
「う~ん、どうだろう? 私は罪を犯したから、本来は生きちゃいけない存在なんだよ。それなのに、ここまで生きてきた、だから、満足しないとならないよ」
「だけど、瑞希はずっと罪を背負ってきたんだ。それなのに、その終着点が『死』ってあまりにも切なすぎるよ」
「死刑囚なんてそんなもんだよ。それにね、死ぬときはあっという間だと思う。だから、そんなに怖くないから」
嘘か本当か?
俺には判断できなかった。
ただ、瑞希の眼はどこか遠い。
あまりにも遠くを見ているような気がするよ。
「とにかく明日はマリンピア日本海だ。思いっきり楽しもう」
「うん。そうだね」
「元気出せよ。こんな時に言う言葉じゃなかもしれないけど」
「私は元気だよ。ただ、不思議なの?」
「不思議?」
「そう。また健君が私の前に現れて、それで好きって言ってくれて、さらに、結婚まで言い出して、本当に不思議。私はとっくの昔に健君とは終わったと思っていたのに」
「俺は、ずっと好きだったんだ。だけど、お前に拒絶され、絶望したんだよ。嫌われてしまった、もう会いたくないのだと思った。だからさ、行動できなかったんだ。瑞希はどうなんだ? 俺のことどう思ってる?」

