「瑞希、何がしたい?」
と、俺は尋ねた。
すると、瑞希は少し考えこむ。
余命は後、十日、あまりにも短い。
「何もできないよ」
「そんなこと言うなよ」
「だって」
「俺、瑞希のそばに居るから」
「え?」
「だから、瑞希のそばにずっといる。お前が嫌だって言ってもいるからな」
「だけど、私は死ぬんだよ」
「死ぬからだよ」
「健君といると、私辛くなる」
「後十日しかないのなら、十日間を楽しもう。やり尽くすんだ。俺は一生分の愛を、この十日に注ぐよ」
「健君、辛くないの?」
「辛いよ。でも、お前と残りの日々を過ごせないのはもっと辛い」
「私は絶対死ぬんだよ。なのに、一緒に居ようなんておかしいよ」
「確かにおかしいかもしれない。でもさ、俺はずっとお前が好きなんだよ。今までずっと離れていたのを後悔してる。もっと早くお前のところに来れば、長く一緒に居られたのにな。ゴメンな、俺が臆病だったから」
「健君は悪くないよ。悪いのはすべて私……。だって、私は二人の女の子を殺してるから。つまりね、殺人鬼なの。そんな女の子と一緒に居る必要なんてないよ」
瑞希は頑なだった。
とにかく、彼女は罪の意識に苛まれている。それは当然だよね。いくら間接的に手を下したとはいえ、彼女は[接続]の力を使って、二人を殺しているのだ。
何があって、それは変わらない。
信じたくないけれど、それは圧倒的な現実なのだ。
でもさ、俺は瑞希を愛してしまった。
愛しているからこそ、彼女の全てを受け入れたい。何があってもね。
「私は幸せになる資格なんてないの」
瑞希はぼそりとそう言った。
その声は、どこまでも絶望に満ちている。死刑を前に悲観に暮れる罪人のようにも思えた。
「俺は全てを受け入れる。瑞希が罪を犯したのは、俺の所為でもあるんだ」
「健君の所為じゃないよ」
「否、俺も悪い。俺が強ければ、お前を守れたはずなんだ。なのに、それができなかった。つまり、俺も同罪ってこと」
「同罪?」
「そう。俺もあの二人を葬った。そうなんだよ……」
「健君、私ね、行きたいところがある」
「行きたいところ?」
「うん」
「どこだ?」
「当ててみて」
そんなこと言われても、ノーヒントでは全くわからない。
瑞希が行きたいところの候補は、あまりにも膨大すぎるのだ。
と、俺は尋ねた。
すると、瑞希は少し考えこむ。
余命は後、十日、あまりにも短い。
「何もできないよ」
「そんなこと言うなよ」
「だって」
「俺、瑞希のそばに居るから」
「え?」
「だから、瑞希のそばにずっといる。お前が嫌だって言ってもいるからな」
「だけど、私は死ぬんだよ」
「死ぬからだよ」
「健君といると、私辛くなる」
「後十日しかないのなら、十日間を楽しもう。やり尽くすんだ。俺は一生分の愛を、この十日に注ぐよ」
「健君、辛くないの?」
「辛いよ。でも、お前と残りの日々を過ごせないのはもっと辛い」
「私は絶対死ぬんだよ。なのに、一緒に居ようなんておかしいよ」
「確かにおかしいかもしれない。でもさ、俺はずっとお前が好きなんだよ。今までずっと離れていたのを後悔してる。もっと早くお前のところに来れば、長く一緒に居られたのにな。ゴメンな、俺が臆病だったから」
「健君は悪くないよ。悪いのはすべて私……。だって、私は二人の女の子を殺してるから。つまりね、殺人鬼なの。そんな女の子と一緒に居る必要なんてないよ」
瑞希は頑なだった。
とにかく、彼女は罪の意識に苛まれている。それは当然だよね。いくら間接的に手を下したとはいえ、彼女は[接続]の力を使って、二人を殺しているのだ。
何があって、それは変わらない。
信じたくないけれど、それは圧倒的な現実なのだ。
でもさ、俺は瑞希を愛してしまった。
愛しているからこそ、彼女の全てを受け入れたい。何があってもね。
「私は幸せになる資格なんてないの」
瑞希はぼそりとそう言った。
その声は、どこまでも絶望に満ちている。死刑を前に悲観に暮れる罪人のようにも思えた。
「俺は全てを受け入れる。瑞希が罪を犯したのは、俺の所為でもあるんだ」
「健君の所為じゃないよ」
「否、俺も悪い。俺が強ければ、お前を守れたはずなんだ。なのに、それができなかった。つまり、俺も同罪ってこと」
「同罪?」
「そう。俺もあの二人を葬った。そうなんだよ……」
「健君、私ね、行きたいところがある」
「行きたいところ?」
「うん」
「どこだ?」
「当ててみて」
そんなこと言われても、ノーヒントでは全くわからない。
瑞希が行きたいところの候補は、あまりにも膨大すぎるのだ。

