十日って……。あまりに短すぎる。これじゃほとんど何もできないじゃないか。瑞希は今入院している。退院まで病院から出られないとすると、彼女を連れてどこかに行く機会は、永遠に失われてしまう。
それでいいのか?
このままでいいのか?
いいわけがない。俺はもっと、瑞希と一緒に居たかった。死ぬまで、おじいさんやおばあさんになるまで、瑞希と共に歩みたかったんだ。
でもさ、それができないみたいだよ。
上条さんは悪魔で、瑞希の余命を握っている。そして、瑞希の命は、確実に十日で終わるらしい。まさに絶望的なだよね。目の前が真っ暗になったよ。
「上条さん。あなたが悪魔だという証拠を見せてください」
と、俺は告げた。
まだ俺は、彼が普通の人間だと思っていた。
突然煙のように現れたのに、それでも信じられなかったんだ。
「証拠か……」
「はい、そうです」
「いいだろう。私は悪魔だ。変幻自在に、この世界から天界へ移動できる。つまり、今この場で姿を消して見せよう。それで納得するかい?」
「本当に消えたら納得します。というよりも、もう信じるしかないでしょう」
「有無、いいだろう。見ていなさい」
上条さんはそう言うと、何やら呪文を唱えた。それはあまりに小さくて聞き取れなかったけれど、聞いたことのない言葉であった。
そして、その呪文が終わった瞬間。確かに奇跡が起きた。
目の前にいた上条さんが、煙のように消えてしまったのである。それはまさに、マジックのような現象。否、マジックでは説明できない。確実に、目の前から消えたのだ。
ここには種も仕掛けもない。
完全なる奇跡。
「き、消えた……、う、嘘だろ……」
俺は開いた口が塞がらなかったよ。目の前で、確かに奇跡が起きてしまったのだ。これではもう、信じるしかないよね。つまり、上条さんは本当に悪魔だった。瑞希の命を食らう憎き悪鬼。
だとしても、俺にはどうしようもない。
もしも、ここで上条さんを殺せば、瑞希が助かるのなら、俺は迷わず彼を殺すだろう。そのくらいの覚悟はあるよ。だって、それだけ俺にとって瑞希は大切な人だから。
かけがえのない人間。
それこそ、幼稚園の時から、ずっと一緒だったんだ。大学までね。
こんな関係、普通じゃありえないだろう。
それでいいのか?
このままでいいのか?
いいわけがない。俺はもっと、瑞希と一緒に居たかった。死ぬまで、おじいさんやおばあさんになるまで、瑞希と共に歩みたかったんだ。
でもさ、それができないみたいだよ。
上条さんは悪魔で、瑞希の余命を握っている。そして、瑞希の命は、確実に十日で終わるらしい。まさに絶望的なだよね。目の前が真っ暗になったよ。
「上条さん。あなたが悪魔だという証拠を見せてください」
と、俺は告げた。
まだ俺は、彼が普通の人間だと思っていた。
突然煙のように現れたのに、それでも信じられなかったんだ。
「証拠か……」
「はい、そうです」
「いいだろう。私は悪魔だ。変幻自在に、この世界から天界へ移動できる。つまり、今この場で姿を消して見せよう。それで納得するかい?」
「本当に消えたら納得します。というよりも、もう信じるしかないでしょう」
「有無、いいだろう。見ていなさい」
上条さんはそう言うと、何やら呪文を唱えた。それはあまりに小さくて聞き取れなかったけれど、聞いたことのない言葉であった。
そして、その呪文が終わった瞬間。確かに奇跡が起きた。
目の前にいた上条さんが、煙のように消えてしまったのである。それはまさに、マジックのような現象。否、マジックでは説明できない。確実に、目の前から消えたのだ。
ここには種も仕掛けもない。
完全なる奇跡。
「き、消えた……、う、嘘だろ……」
俺は開いた口が塞がらなかったよ。目の前で、確かに奇跡が起きてしまったのだ。これではもう、信じるしかないよね。つまり、上条さんは本当に悪魔だった。瑞希の命を食らう憎き悪鬼。
だとしても、俺にはどうしようもない。
もしも、ここで上条さんを殺せば、瑞希が助かるのなら、俺は迷わず彼を殺すだろう。そのくらいの覚悟はあるよ。だって、それだけ俺にとって瑞希は大切な人だから。
かけがえのない人間。
それこそ、幼稚園の時から、ずっと一緒だったんだ。大学までね。
こんな関係、普通じゃありえないだろう。

