冬になれば、当然だけど雪が降る。川端康成の有名な小説『雪国』の冒頭では、トンネルを抜けると雪国であったとある。浦佐へ着いた時も、まさにそんな心境だったよ、一面白い風景が広がっていたんだ。
あぁ、雪国に来たんだな……、そんな気がしたよ。新幹線を降り、改札に向かう。駅はそれなりに大きいのだけど、駅周辺は閑散としている。新潟駅とは全然違うよね。
駅を出て、俺はマンションの住民から教えてもらった住所へ向かって歩き出す。駅の周辺にはタクシーが停まっていたから、俺はそれに乗り、住所を告げて向かうことしたんだ。
瑞希の両親がいるところは、タクシーで十分ほど離れた場所だった。だから、歩いても行こうと思えば行ける距離だよ。でも、土地勘がないから、俺はタクシーを使ったってわけ。
タクシーが目的地に到着し、俺は料金を支払う。そして、目の前に広がる景色を見つめた。完全なる雪国。住宅地であるようで、古びた一軒家が点々と立ち並んでいる。そして、その中に野村という表札があるのがわかった。
瑞希、瑞希と言ってきたから混乱するかもしれないけれど、瑞希の苗字は『野村』という。まぁ普通の苗字かな、古びた家は、築三十年は経っていそうだった。屋根の上には雪が積もり、家の前にも雪が積もっていたよ。
俺は、深呼吸をしてからインターフォンを押した。「ピンポーン」と普遍的な音が、鳴り響いていく。徐々に緊張が高なっていくよ。ここに瑞希はいるのかな?
いるとしたら、会うのは七年振りということになる。どんな風になっているんだろう? 罪の意識に苛まれて、こんな新潟の奥地にやって来たんだろうか?
トビラの向こうから、コチラに向かってくる音が聞こえる。そして、ガラッとトビラが開かれた。見慣れた顔。そこには、瑞希の母親が立っていた。
「えっと、俺のことわかりますか?」
俺はそう言った。
すると、懐かしそうに瑞希の母親は告げる。
「あぁ、健一君ね。お久しぶり……。で、でもどうしてこんなところに?」
「あの、瑞希さんいますか?」
瑞希……。
その名前を聞き、母親は凍り付いたようになったよ。
「瑞希に会いに来たの?」
「はい。そうです」
「あの子、ここにはいないのよ」
「一緒に暮らしていないんですか?」
「ええとね、瑞希、入院してるの」
「入院ってどこか悪いんですか」
あぁ、雪国に来たんだな……、そんな気がしたよ。新幹線を降り、改札に向かう。駅はそれなりに大きいのだけど、駅周辺は閑散としている。新潟駅とは全然違うよね。
駅を出て、俺はマンションの住民から教えてもらった住所へ向かって歩き出す。駅の周辺にはタクシーが停まっていたから、俺はそれに乗り、住所を告げて向かうことしたんだ。
瑞希の両親がいるところは、タクシーで十分ほど離れた場所だった。だから、歩いても行こうと思えば行ける距離だよ。でも、土地勘がないから、俺はタクシーを使ったってわけ。
タクシーが目的地に到着し、俺は料金を支払う。そして、目の前に広がる景色を見つめた。完全なる雪国。住宅地であるようで、古びた一軒家が点々と立ち並んでいる。そして、その中に野村という表札があるのがわかった。
瑞希、瑞希と言ってきたから混乱するかもしれないけれど、瑞希の苗字は『野村』という。まぁ普通の苗字かな、古びた家は、築三十年は経っていそうだった。屋根の上には雪が積もり、家の前にも雪が積もっていたよ。
俺は、深呼吸をしてからインターフォンを押した。「ピンポーン」と普遍的な音が、鳴り響いていく。徐々に緊張が高なっていくよ。ここに瑞希はいるのかな?
いるとしたら、会うのは七年振りということになる。どんな風になっているんだろう? 罪の意識に苛まれて、こんな新潟の奥地にやって来たんだろうか?
トビラの向こうから、コチラに向かってくる音が聞こえる。そして、ガラッとトビラが開かれた。見慣れた顔。そこには、瑞希の母親が立っていた。
「えっと、俺のことわかりますか?」
俺はそう言った。
すると、懐かしそうに瑞希の母親は告げる。
「あぁ、健一君ね。お久しぶり……。で、でもどうしてこんなところに?」
「あの、瑞希さんいますか?」
瑞希……。
その名前を聞き、母親は凍り付いたようになったよ。
「瑞希に会いに来たの?」
「はい。そうです」
「あの子、ここにはいないのよ」
「一緒に暮らしていないんですか?」
「ええとね、瑞希、入院してるの」
「入院ってどこか悪いんですか」

