About a girl

 浦佐というのは、新潟県南魚沼市にある地区の名前だ。一応、浦佐駅という駅があり、ここは上越新幹線の停車駅でもある。ただ、駅の周辺は、寂れているというか、どこか寂しいんだ。
 新潟県は、それなりに栄えている県だと思うけれど、俺が住む神奈川県に比べると、その規模はかなり小さい。
 まぁ、地方都市という感じだよね。それにね、南魚沼市は雪国だ。スキー場や温泉くらいしか、観光地はないと言えるだろう。でもね、どこかのんびりとしていて、いい街だと思ったよ。雪が降らなければ、田舎の風景が広がって、住みやすい街だとは思うよ。
 それでも、如何せん冬は大変だろう。雪が猛烈に降るから、日常的に雪かきしないとならない。年寄りにはしんどいだろうよ。
 それにさ、ここに瑞希がいるのだろうか? 瑞希の両親については、俺も詳しく知らない。実家がどこなのかとかは、あまり知らないのである。瑞希はあまり家族について話さなかったし、俺も無理に聞きだそうとはしなかったんだよ。
 俺と瑞希は幼馴染である。これは、何度も言ってるから、当然知ってるよね? でもさ、親同士の繋がりはあまりないんだ。小学生くらいまでは、よく家に行っていたけれど、思春期を迎えてからは、あまり行かなくなったんだ。
 付き合い始めてからは、何度か一緒に食事をしたけれど、それくらいの関係である。俺自身、瑞希の両親にどう思われているのかわからないよ。まぁいい人たちだとは思うけどね。
 新潟駅から再び新幹線に乗る。上越新幹線だ。浦佐駅は、すべての新幹線がとまるわけではない。通過してしまう新幹線も結構あるから、注意が必要なんだよね。俺は、時刻表を見て、その後浦佐に着く新幹線を探し出し、その切符を買う。
 丁度、夕方六時台の新幹線で、浦佐に止まるのがあったからそれに乗る。全く忙しい日だよ。神奈川から新潟へ行き、そこからさらに浦佐に飛ぶ。でもさ、交通の発達ってすごいよね。一日でここまで動けるんだから。
 新潟駅から浦佐まで、新幹線で四十分くらいである。長岡を過ぎると、やがてトンネルに入り、それを抜けると、南魚沼市だ。
 今は冬。
 新潟市は、年々雪が降らなくなっているらしいから、今は雪が降っているわけではなかった。だけど、浦佐は違うんだ。ここは、日本でも有数の雪国。