About a girl

「君が瑞希さんを探すのなら、特別に休暇をあげよう。十日間。君は今まで一生懸命に働いてくれたら、そのくらいサービスしてあげるよ。今までの経験を元に、瑞希さんを探してごらん。それが君のためだよ」
「いいんですか? 休みを貰っても??」
「うん。構わないよ。やってみるといい」
「あ、ありがとうございます。俺、やってみます」
 こうして、俺は特別休暇を与えられたんだ。
 瑞希を探すために、俺は動き始めたってわけ。

 基本的に人探しは探偵の捜査部門の中でも、比較的難しい。特に人探しは、失踪から時間が経っていないほうが見つかりやすい。簡単にいうと、失踪から一週間程度出れば、高確率で見つけることができるのだ。
 ただ、年月が経つと、途端に難易度が上がる。情報が古くなり、どこかで途絶えてしまうのだ。瑞希が俺の前から消えてから、既に三年の月日が流れている。
 三年の年月は、実は結構重い。これは大きな痛手である。でもやるしかない。瑞希が俺の元を離れた理由が、[接続]の条件と重なっているのなら、俺は彼女を探し出し、真実を聞かないとならないのだ。
 俺は、すぐに瑞希捜索を始める。
 俺の持てる力をすべて使って、彼女を探し出すんだ。なんとしても……。
 人探しの基本は、本人が残した手掛かりを徹底的に調査することである。既に携帯電話の連絡先はわからない。となると、彼女が住んでいた新潟の実家に向かう必要がある。俺は、その足で新幹線にのり、新潟に向かった。
 俺が働いているのは、東京都の世田谷区。
 大学を卒業し、俺は、世田谷区にある探偵事務所に就職し、横浜市金沢区から、川崎市高津区へ引っ越したんだ。
 溝の口っていう、高津区の中で大きな街で暮らしている。溝の口から世田谷区は近い。東急田園都市線が通っているから、電車で十分くらいなのだ。
 まぁ、話が少し脱線したけれど、俺は一旦自宅に戻り、簡単に荷物を準備すると、そのまま東京駅に向かい、上越新幹線の切符を買う。上越新幹線は、東海道新幹線とは違い、比較的空いている。GW、お盆、年末年始、これ以外の時期は、すんなり乗れるのである。
 東京駅が始発だから、自由席でも問題ないだろう。自由席の切符を買い、新幹線で新潟へ向かう。そうすると、二時間くらいで新潟駅に到着する。
 東京から新潟は意外と近いのである。