About a girl

 それから、俺は超能力を捜査するのを止めたよ。もう無駄だと思ったんだ。仮に超能力が正しかったとしても、瑞希は既にその力を使ってしまっている。だからね、取り返しがつかないんだ。 
 たださ、超能力は基本的に信じられていない。だからね、瑞希がいくら告白したところで、きっと罪には問われないだろう。しかし、彼女が心配だ。罪の重さに耐えきれず、自分を傷つけないといいけれど……。
 俺はね、瑞希と別れた後も、連絡を取ろうとした、携帯電話の連絡先は通じなくなってしまったけれど、実家の住所は知っている。だからね、手紙を送り続けたんだ。だけど、全く反応はなかったよ。
 瑞希の中で、俺は死んでしまっているようだった。瑞希は、俺を忘れてしまったのかだろうか? そんなの嫌だよね。今までずっと一緒だったんだ。それがこんなに訳の分からないことで終わるなんて悲しすぎるよ。
 会いたい……。
 ただ俺はそう思ったよ。
 瑞希の超能力もすべて認めて、彼女と付き合っていたかった。覚悟もあったよ。瑞希は超能力で二人の女を殺したのかもしれない。それでも、俺の大切な人なんだ。すべては、あの二人が悪い。彼女たちが俺たちをそっとしておけば、瑞希は何もしなかったはずだ。
 つまりね、因果応報ってやつだよ。
 罪は巡り巡って、二人を切り裂いた。死という呪縛を残してね……。
 瑞希と別れてから、俺は手紙を送り続けたんだけど、いつしか宛先不明で戻ってきてしまったんだ。慌てて実家に帰省して、瑞希の自宅に行ってみると、既に引っ越した後だった。俺の両親もどこに行ったのかはわからなかったらしい。とうとう、瑞希は俺の前から姿を消したよ。これで終わりなんだろうか? 全く、受難の日々はまだまだ続きそうだよ。
 俺の残りの大学生活は、暗黒に染まったと言ってもいいだろう。最低限の授業に出て、単位を取って、後は自宅に引きこもる。そんな日々を暮らしていたんだ。サークルも辞めたし、バイトもする気がなかったら、完全孤独だったんだ。
 それでも、俺は動けなかった。瑞希を失った今、何もやる気が出なかったんだよ。それでも、何とか単位を取ったことを、褒めて欲しい。それだけである。