About a girl

 そんな瑞希を、俺は責められない。仮に力が使えて、その力を使ってしまったとしても、俺は彼女を受け入れる。その覚悟があったんだ。でもね、瑞希は全てを否定したよ。
 俺を拒絶し、最後、泣きながら俺を無かったことにしたんだ。もう、戻れない。二度と戻れないよ。あの幸せだった日々にはね。

 俺は結局、瑞希を説得できなかった。
 一度決めた瑞希の行動は素早く、あっという間に大学を辞めて、新潟に帰ってしまったんだよ。正直、俺も追いたかった。彼女を地の果てまで追いかけて、一緒に居たかった。だけど、俺は学費を両親に払ってもらっている。今大学を辞めるわけにはいかないんだ。
 追った方が良かった。
 学費とか、親のためとか、そんなことを一切擲って、自分に従うべきだったんだ。
 つまり、俺は痛烈なミスを犯した。ここで、俺は狂ってもいいから瑞希を追うべきだったんだよね。でもね、俺はそれをしなかった。だからこそ、瑞希との大切な日々を、ここでいったん終わらせるしかなかったんだよ。
 新潟に帰った瑞希は、それきり連絡を横さなくなった。携帯電話の連絡先も変え、繋がらなくなったし、試しに実家に電話してみたけれど、出たくないと両親に拒絶されてしまった。
 こうして、瑞希は俺の前から消えたんだ。
 凄く、切なく、悲しかった。
 俺の人生は、これで終わってしまった……、そんな風に感じたよ。だけどね、残されたとしても、俺は生きていかなければならない。どんなに辛くても、人は生きないとならない。もちろん、死ぬほど辛かったよ。生きる目的を失った時期でもあったんだ。何度も自殺を考え、死のうとしたよ
 だけどね、俺は弱虫だから、死ねなかった。単純に死ぬのが怖かった。何もできない。瑞希も追えないし、死ぬこともできない。何て言うのかな、凄く中途半端だったよ。
 瑞希が俺の元から去った。
 残された俺は、より一層孤独になったよ。人とはほとんど付き合わない。というよりもね、人と付き合う気持ちが湧かなかったんだ。
 だけど、そんな中、俺は超能力に関して調べてみたんだ。
 瑞希の言葉が正しいなら、超能力は存在している。今でも、俄には信じられないよ。だけどさ、あの時の瑞希の口調は、まさに真実を語っていたんだ。とても、嘘とは思えないよね。