テーマパーク内には、フードコートもあるから、俺たちはそこで休むことにしたんだけど、やっぱり瑞希の表情は思い。あれれ、楽しくないのかな?
「混んでるな。新潟とは全然違う」
「うん。人口が違うからね」
「何か元気ないみたいだけど……」
「う~ん、ちょっとね」
「なんだよ、言ってくれよ。気になるじゃん」
「うん。実はね、健君が優奈ちゃんと二人でお茶したのを聞いたの」
「あ、あぁ。それか……。大学の掲示板の前でばったり会ってな。それで少し話そうってことになってさ。でも、それだけだよ。お茶して帰っただけだよ」
「優奈ちゃん可愛いから」
「そうかな」
「そうだよ、サークルの男の子はみんなそう言ってるよ。だって、サークルのアイドルだし」
 サークルのアイドル。
 まぁ、そうかもしれない。彼女は、ルックスもいいし、スタイルだって整っている。だから、男に人気になる理由はわかる。でも、そんなのは、俺にとってはどうでもいい。だって、俺には関係ないしね。
 そもそもさ、俺には瑞希がいる。他の女は必要ないよ。だけど、気がかりなんだよな。あの日、優奈は俺に彼氏になって欲しいと告げた。もちろん、彼氏のフリだ。
 でもさ、なんでそんなことするんだろう? そんなことする意味が、俺にはわからなかったんだ。何かこう、変な策略があるのではないかと、勘ぐってしまうよね。
「なぁ、瑞希。優奈から何か聞いたか?」
 瑞希はその言葉を聞き、ハッとした顔を浮かべた。
 俺はその変身が理解できなかったんだ。
「え、優奈ちゃんから……。何も聞いてないけど」
「そうか、ならいいんだ」
「何かあるの?」
「いや、何でもない、どうでもいい話だよ」
 優奈はまだ瑞希に彼氏のフリをするという話をしていないらしい。
 ならば、あえて俺が言う必要はないだろう。というよりもね、言えば変な風に話が転んでしまうような気がしたんだ。俺は、すべてを楽観的に考え過ぎていた。ここでの選択が痛烈な悪手になってしまうと、全く思わなかったのだから。
「健君、優奈ちゃんと仲良くなったの?」
「否、全然……」
「でも、前と違うよ」
「そうかな? 普通だと思うけど」
「違うくないよ。だって、健君は優奈ちゃんを名前で呼んだりしなかったもん。それなのに、さっき優奈って言ってたし」
「あ……」
 俺はそこで気づいた。