俺は、その変化を見るのも好きだった。徐々に可愛くなっていく瑞希が愛おしい。思わず抱きしめたくなるし、俺たちは、長く付き合っているカップルが陥る、倦怠期みたいなものがあまりなかった。
二人一緒。常に一緒。
寄り添って生きていたから、当然のように二人でいたんだ。俺も瑞希もそれで満足していたよ。大学生活は、概ね順調に流れていた。
けどね、少しずつ、おかしくなっていった。その原因は、主に優奈という女の子にあったみたい。
「瑞希、勉強してるの?」
瑞希の家で夕食を終えると、瑞希は洗い物を済ませてから、机に向かった。いつもなら、俺と談話している時間なのに、彼女は何か焦っているようだったよ。
「うん、ちょっとね」
「宿題なんてあったっけ?」
俺と瑞希は、病的な程一緒に居て、授業もほとんど同じものを取っていた。何しろ、大学は自由に好きな授業を選択できるから、併せれば、すべて同じ時間割にすることだってできるわけ。
あらかじめクラス設定が決まっている授業がいくつかあったけれど、それ以外は、ほとんど同じ授業を取っていた。だからね、俺たちは常に一緒に居たんだよね。
それなのに、瑞希が勉強している。それは、かなり不思議な光景だった。
「う~ん。私のじゃないの」
「私のじゃない? はぁ? どういう意味??」
「えっと、優奈ちゃんの宿題を手伝ってるの。困ってるみたいだったから」
「優奈の宿題をやってるのか? なんで? 本人にやらせないと意味ないだろ」
「うん、そうなんだけど、友達だし……」
友達。
その定義が、俺にはよくわからないよ。
宿題を教えるのはまだ何となくわかる。でもさ、宿題を押しつけて、友達にさせるっていうのは、本当の友情の姿なんだろうか? 何て言うのかな? 俺たちは、今までほとんど友達というものを作ってこなかった。
何度も言うようだけど、瑞希はかなり天然な所があって、それが人の精神を悪戯に刺激するのだ。だから、高校時代までは敬遠されていて、挙句の果てにイジメられた。それは俺も同じなんだけどね。
まぁ、そんな影響があって、瑞希は友達を作りたいと本気で考えていた。そんな中、ようやくできたのが、優奈っていう友達なんだ。だけど、俺は少し心配だった。この優奈って人間は、瑞希をいいように利用しているだけなのではないか? そんな風に感じたんだよね。
二人一緒。常に一緒。
寄り添って生きていたから、当然のように二人でいたんだ。俺も瑞希もそれで満足していたよ。大学生活は、概ね順調に流れていた。
けどね、少しずつ、おかしくなっていった。その原因は、主に優奈という女の子にあったみたい。
「瑞希、勉強してるの?」
瑞希の家で夕食を終えると、瑞希は洗い物を済ませてから、机に向かった。いつもなら、俺と談話している時間なのに、彼女は何か焦っているようだったよ。
「うん、ちょっとね」
「宿題なんてあったっけ?」
俺と瑞希は、病的な程一緒に居て、授業もほとんど同じものを取っていた。何しろ、大学は自由に好きな授業を選択できるから、併せれば、すべて同じ時間割にすることだってできるわけ。
あらかじめクラス設定が決まっている授業がいくつかあったけれど、それ以外は、ほとんど同じ授業を取っていた。だからね、俺たちは常に一緒に居たんだよね。
それなのに、瑞希が勉強している。それは、かなり不思議な光景だった。
「う~ん。私のじゃないの」
「私のじゃない? はぁ? どういう意味??」
「えっと、優奈ちゃんの宿題を手伝ってるの。困ってるみたいだったから」
「優奈の宿題をやってるのか? なんで? 本人にやらせないと意味ないだろ」
「うん、そうなんだけど、友達だし……」
友達。
その定義が、俺にはよくわからないよ。
宿題を教えるのはまだ何となくわかる。でもさ、宿題を押しつけて、友達にさせるっていうのは、本当の友情の姿なんだろうか? 何て言うのかな? 俺たちは、今までほとんど友達というものを作ってこなかった。
何度も言うようだけど、瑞希はかなり天然な所があって、それが人の精神を悪戯に刺激するのだ。だから、高校時代までは敬遠されていて、挙句の果てにイジメられた。それは俺も同じなんだけどね。
まぁ、そんな影響があって、瑞希は友達を作りたいと本気で考えていた。そんな中、ようやくできたのが、優奈っていう友達なんだ。だけど、俺は少し心配だった。この優奈って人間は、瑞希をいいように利用しているだけなのではないか? そんな風に感じたんだよね。