瑞希は寂しがったが、結局はわかってくれた。俺は夜の道を歩き自宅に戻ったんだ。
 その日の夜は、星は見えなかったけれど、すっきりとした夜空が広がっていたんだ。
 俺たちの高校生活は、暗黒と天国を足して二で割ったような感じだった。学校内では無視される。それは橘花が死んでも変わらなかったよ。だけどね、俺は放課後になれば瑞希といられる。それだけでよかったんだよね。
 時が流れ、俺たちは無事同じ大学に進学することになる。
 俺たちが選んだのは、新潟の大学ではなく、県外の大学。東京ではなく神奈川県だった。俺たちは横浜市に引っ越し、そこで新しい生活を始めたんだ。だけどね、俺たちの新生活は、結構波乱万丈であった。人生、イイこともあれば、悪いこともある。全く、難しいものだよね。もっと、楽に生きられたらいいのに……。そんな風に俺は思っていたよ――。


第二章
 俺たちは、横浜市金沢区という街に引っ越した。京浜急行電鉄が走っていて、穏やかな住宅街が広がっている地区だ。
 同じ大学で、家も近くにしたんだよ。俺はアパートで、瑞希はマンション。彼女は一応女の子だから、セキュリティの高いマンションに引っ越したってわけ。
 入学式を終え、大学に行くと、猛烈なサークルの勧誘に合う。俺も瑞希も暗黒の高校時代を超えたいと思っていたんだよ。ここで心機一転、新しい人間関係を作りたい。そんな風に思っていたってわけ。だからさ、適当なサークルに入って、そこで大学生活を楽しもうとしたんだ。
 もともと、俺はサークル活動をする予定はなかった。でもね、瑞希がどうしてもしたいっていうから、仕方なく彼女に倣ってサークルを探したよ。大学のサークルっていうのは大なり小なり、かなりの数がある。あまりに多くて選べないっていうもの事実だよ。だけど、俺たちはあるオールラウンド系のサークルを選びそこに入ったんだ。
 再び、受難の日々が始まろうとしていた。
 入学から間もなく、俺の大学生活は、それとなく順調に流れていたよ。サークルに入ったことで、大学の講義でも話す相手ができて、ゆったりとしたペースで青春を謳歌していた。
 俺の高校時代は、外見は暗黒だった。でもね、俺はそれほど、高校時代が嫌だったわけじゃないよ。もちろん、クラスの連中から無視されて、辛い時間を過ごしたんだけど、俺のそばには、いつだって瑞希がいたんだ。