「愛する人間の幸せを願ったんですよ。つまり、瑞希は自己犠牲の念で、俺の前から消えた。俺の未練を断ち切るために、あえて嫌いだと言い、自分から離れていくように仕向けた。でも、それは全て、俺を愛してるからできることなんです。愛しているから、俺の幸せをのために自分は手を引いた。瑞希は消えるから、一緒になれない。なら、残された者の幸せを願い、自分を殺し、消えたんです。愛っていうのは、どこか犠牲の上で成り立っている。だから、瑞希は最後俺の前から消えたんです。本当は好きなのに……、愛しているのに。……愛しているからこそ、俺を拒絶し、俺の前から消えた。それが今、俺にはわかりました」
その言葉を聞いた上条さんは、満足そうな顔を浮かべた。
「そうだろう。それが愛の力なんだよ。そして、その愛の証があれば、君は瑞希さんを忘れないだろう。私は確かに彼女の命を奪った。だから、ここにはもういられない。君の前からも消えるよ」
「その命、返してくれないんですよね?」
「できない相談だねぇ。契約だからね」
今すぐ飛び掛かって瑞希の命を取り戻そうとした。しかし、それを俊敏に察したのか、上条さんは俺の前から姿を消した。
再び、脳内に衝撃が残り、俺はそのままクラクラと蹲った。
だけど、覚えている。
絶対に忘れないと誓ったんだ。
瑞希のことは絶対に忘れない。
瑞希、ありがとう。
俺は俺の道を歩むよ……。
エピローグ
俺は三十歳になった。
同時に、瑞希の記憶もあるのだ。だけど、俺は瑞希を喪った悲しみを乗り越えて、二十八歳の時に、出会った女性と結婚した。
瑞希と言う存在は、俺以外の記憶から完全に消えてしまったようだ。瑞希の両親は、瑞希と言う娘がいたことを、忘れている。否、忘れているというよりも、その存在が消えているから、なかったことになっているのだ。
それは、どこまでも寂しい現実だった。
瑞希は[接続]の力を使って、二人を殺した。だけど、当時の彼女は追い詰められていた。責めるのは酷だろう。それに、俺は何もできなかったんだ。彼女を支えることができなかった。つまり、俺も同罪かもしれない。それでも、俺は悲しみを乗り越えて、今は新しい家族がいる。その家族を守るために、日々戦っているんだ。
ある夏の休暇を利用して、俺は実家のある新潟県新潟市に帰ってきた。
その言葉を聞いた上条さんは、満足そうな顔を浮かべた。
「そうだろう。それが愛の力なんだよ。そして、その愛の証があれば、君は瑞希さんを忘れないだろう。私は確かに彼女の命を奪った。だから、ここにはもういられない。君の前からも消えるよ」
「その命、返してくれないんですよね?」
「できない相談だねぇ。契約だからね」
今すぐ飛び掛かって瑞希の命を取り戻そうとした。しかし、それを俊敏に察したのか、上条さんは俺の前から姿を消した。
再び、脳内に衝撃が残り、俺はそのままクラクラと蹲った。
だけど、覚えている。
絶対に忘れないと誓ったんだ。
瑞希のことは絶対に忘れない。
瑞希、ありがとう。
俺は俺の道を歩むよ……。
エピローグ
俺は三十歳になった。
同時に、瑞希の記憶もあるのだ。だけど、俺は瑞希を喪った悲しみを乗り越えて、二十八歳の時に、出会った女性と結婚した。
瑞希と言う存在は、俺以外の記憶から完全に消えてしまったようだ。瑞希の両親は、瑞希と言う娘がいたことを、忘れている。否、忘れているというよりも、その存在が消えているから、なかったことになっているのだ。
それは、どこまでも寂しい現実だった。
瑞希は[接続]の力を使って、二人を殺した。だけど、当時の彼女は追い詰められていた。責めるのは酷だろう。それに、俺は何もできなかったんだ。彼女を支えることができなかった。つまり、俺も同罪かもしれない。それでも、俺は悲しみを乗り越えて、今は新しい家族がいる。その家族を守るために、日々戦っているんだ。
ある夏の休暇を利用して、俺は実家のある新潟県新潟市に帰ってきた。

